作品の源泉と考えられるもの
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/22 05:20 UTC 版)
「青の光」の記事における「作品の源泉と考えられるもの」の解説
ドイツには『青の光 (Das blaue Licht)』という同じ題名の伝説があり、これがリーフェンシュタールの脚本に何らかのインスピレーションを与えた可能性がある。汎ゲルマン主義のエートスが席巻していた当時のドイツでは、映画の観客たちはこの古い伝説に親しんでいたはずであり、この映画がそれをなぞるように展開すると期待したことだろう。しかし、この映画には、伝説との共通性はほとんどなく、しかも伝説から離れて思いもかけない方向へ展開し、レニ・リーフェンシュタールを、魔女ではなく、不当に魔女扱いされる美しい孤高の存在として描き出している。 1810年にグリム兄弟が採集し、1920年代のヒトラーに先んじた国家主義者たちによって広められた元々の伝説は、王のために戦って不自由な身となり、お払い箱になった兵士の物語である。軍隊を離れた兵士は、癒しを求めて森に入り、魔女の家にたどり着く。そこで兵士は、自分を治してくれるかと魔女に尋ねる。魔女は兵士の身体を治す事を約束し、そのために3つのことをするよう、兵士に要求する。その3つめの務めが、深い空井戸に降りて、その底にある古代のランプを取ってくる事だった。 伝説では、井戸の底で小人のようなものに出会う。奇妙なランプから立ち現れるそのランプの精は、不思議な青い光に輝き、最後には魔女を破滅させる事になるのだが、リーフェンシュタールの構想と、それ以前から存在していたこのドイツの神話との結びつきは、これ以上はほとんど無いといってよい。 グスタフ・レンカー (Gustav Renker) の小説『Bergkristall』(仮訳「山の水晶」:1930年)は、『青の光』のあらすじと数多くの類似点があり、バラージュとリーフェンシュタールによって、無断であらすじとして用いられた可能性もある。
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