体外衝撃波疼痛治療
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/25 06:15 UTC 版)
2008年、厚生労働省は鎮痛剤などによる保存療法を半年以上行っても効果がない難治性足底筋膜炎の治療機器として、独「ドルニエ メドテック システムズ」社製の体外衝撃波疼痛治療装置「ドルニエエイポスウルトラ」を承認した。同装置の原理は、同社がトップシェアをもつ尿路結石を除去する衝撃波結石破砕装置と同じで、衝撃波を患部に集中的に照射する。まず、治療部位に超音波ゲルを塗布し、足底に超音波トランスデューサをあて、衝撃波の集束点が治療部位にくるよう位置決めをする。発生した衝撃波を音響レンズで1点に集め、治療ヘッドを足の側面にあて照射する。泌尿器のように石を割る必要がないので、結石破砕装置よりも低出力である。衝撃波が痛みを取る仕組みについてはさまざまな説があり、痛みを感じ取る自由神経終末を変性させたり、痛みを伝える物質などを減少させたり、衝撃波の照射で新しい血管が誘導されたりすることによって、治癒が促されると考えられている。治療の最初には痛みがあるがすぐに慣れるため麻酔はしない。治療効果が出るには最低でも2、3日かかる。1回で良くなる場合もあるが、何回か治療を要する場合もある。スポーツ選手の場合、入院・リハビリ期間が半年かかる外科手術は、1シーズンを棒に振ることになるだけでなく、最悪の場合選手生命が終わる可能性もあるのに対して、同装置を用いれば腱を切断することなく、外来で数十分の治療で済む。また、衝撃波による治療は薬剤を使わないので、スポーツ選手にはドーピングの心配がない。2012年4月より条件付きで健康保険の適用となった。。2010年に新札幌整形外科病院(北海道札幌市厚別区)に、2011年に宮崎大学医学部附属病院(宮崎県宮崎市)に、それぞれ導入された。欧米では200台以上、導入されており、足底だけでなく肩、肘にも適用されている。欧米の臨床研究では、難治性足底筋膜炎を含む全患者の5~8割で痛みがなくなる、ないし緩和されるなどの効果が報告されており、日がたつほど痛みが和らぐ傾向が認められたという。
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