伝承とイメージ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/01 06:38 UTC 版)
「ザン」も参照 伝説上の人魚は西洋と東洋とで大きく姿形が異なるが、いずれの人魚もジュゴンがモデルであるとの通説がある。 上半身が人間の女性で下半身が魚や海獣の人魚が本種と結びつけられた理由としては、本種は胸鰭の基部に1個ずつ乳頭があり、これが隆起し乳房のように見えるためとする説もある。また、ひれ状の前肢で子を抱いて、立った形で海上に浮くからだともいう。しかし、ジュゴンの姿は人間の女性とはかけ離れているので、初めに上半身が人間・下半身が魚や海獣といった人魚のイメージができあがり、後になって本種と結びつけられたと推定されている。 西洋における人魚のモチーフとなったとする説もあるが、伝承が伝わるアイルランドやデンマークなどは、ジュゴンの生息域から大きく外れている。 ジュゴンの肉は非常に美味なため、不老不死の効能や媚薬としての効果があると信じられてきた。日本の八百比丘尼伝説で、比丘尼が口にして800年の命を得た人魚の肉は、ジュゴンの肉であるとされる。 日本の琉球地方ではニライカナイの神の現世への乗り物とされたり、助けたジュゴンに津波の襲来を教えられ恩返しされるといった伝承やジュゴン漁に関する民謡などがある。 1970年代、オーストラリアのトレス海峡諸島に出稼ぎに出ていた日本人労働者が、現地の食の楽しみについて「ジュゴンとウミガメの味は堪えられない」と語る記録が残されている。
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