伝承とその真偽
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/25 05:55 UTC 版)
ハスカップの紹介で、しばしば「アイヌの不老長寿の妙薬」と紹介されることがあるが、これは後述の菓子会社三星が、自社商品の「よいとまけ」を東京の三越本店で販売する際に、ハスカップに馴染みのない人々に説明・宣伝するために捏造したものであることを後に明かしている。 また、アイヌに伝わるハスカップの伝承として、これまでに次の話が紹介された。 昔、アイヌの若者が小さい舟にのって漁をしていた。舟出した頃は天気がよかったが一天にわかに曇り海は荒れるにあれた。一生懸命に陸に向かってこいだが遂に力がつきていつの間にか若者は眠ってしまった。そして一夜がすぎて目を覚ましたら天候も回復し若者の舟は川の入り江に流れついていた。ところが腹が空いて思うようにうごけない。やっとの思いで川沿いにのぼったところ、見たことのない黒い実のなっている木を発見した。若者は夢中になって口の中にほうりこんだ。毒なのか、味がどうとかはわからなかったであろう。そのうちに次第に元気になり、浜に出て妻子の待っているコタン(引用注:村のこと)に帰ることができた。そして若者は勇払の浜に神の木があると話をし、神の食べものとして毎年神社にまつったという。 — 中内 武五郎、「ハスカップ物語 中」(1979.7.13 苫小牧民報) これについて、安田千夏は前後して静内(現:新ひだか町)で採録された海難伝承との類似性や、神社にまつるなど和人文化の影響がある点を指摘し、「アイヌによって語られたものであったとしても、昭和50年代まで語り継がれていた本来の海難伝承から派生したアレンジ」であり、「栄養分析の結果とアイヌの伝承があたかも一致したかのような『よくできた話』がいつのまにか流布して行った、というのが真相なのでは」と分析している。
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