伝承する難易度の高さ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/10 07:05 UTC 版)
上記の二つに関連して、その伝承の難易度が高いことは、形稽古を取り入れる分野において、特に近代化以降、大きな障害となっている。形は流儀の根幹を成すものであり、形が失われれば、流儀そのものの存在意義もなくなる。形は、楽譜のように書物で内容を書き表すには限界があるため、記憶が主にその継承を担っており、後継者の育成が必要不可欠であった。 前近代の時代では、形稽古の形式は未だ文化の主流を占め、また多くが閉鎖的な世襲制を採用していなかったこともあり、伝承は比較的容易く、流派は増殖するのみで失伝する例はほとんど見られなかった。 しかし近代化以降は、西洋文化が流入し、形稽古は時代遅れの形式と断ぜられた。その多くが閉鎖的となり、一家で細々と伝承していくなど、存続の危機に直面した。文明開化では、故意に失伝させる風潮が見受けられ、また第二次世界大戦によっても、伝承者の戦死により、多くの流派が失われたと言われている。 ただし現在では、科学技術の発達により、伝書が複製できると同時に、内容を映像として残すこともできるため、たとえ伝承者が一度途絶えたとしても、再び復興させようとすれば、ある程度までの形の復元は可能になるとされている。しかし伝承が途絶えることは事実であり、その点では、伝承者は未だに後継者の育成に対して危機感を募らせている。
※この「伝承する難易度の高さ」の解説は、「形稽古」の解説の一部です。
「伝承する難易度の高さ」を含む「形稽古」の記事については、「形稽古」の概要を参照ください。
- 伝承する難易度の高さのページへのリンク