仮説実験授業との関係
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牧は仮説実験授業研究会の教師達を中心にしてできた「科学映画を観る会」を行った。この会は仮説社内の仮説会館スペースを使って映写機で16ミリフィルムを上映し、20年ほど月1回のペースで行った。教師達は牧達が作った昔の科学映画を見てそのたのしさや教育への有効性を知り、岩波科学映画の現代的価値を認めた。それらの映画の多くは仮説実験授業の手法を取り入れて「問題-予想-討論-実験」という構成で作られており、映画の中で一つの問題ごとに「映画を止めて皆さんで予想を立ててみてください」という指示が入っているものもあった。しかし16ミリフィルムではそれを実際の授業で実行するのは難しかった。そこで、映画のDVD化の要望が高まった。長谷川智子と櫻井純子らの努力で2004年と2009年に復刻DVD化が実現し、仮説社から販売された。 「力のおよぼしあい」(1966年) 1966年教育映画祭最高賞。静力学の基礎を教える映画。この映画では「光弾性試験」によって、力が加わった物体の変形が目に見えるようにして、物体に力を加えたときの変形が元に戻ろうとする弾性力が「抗力」の原因であることを生き生きと見せてくれる。これは仮説実験授業の授業書「ばねと力」で積極的に使われている概念であるが、映画という手法はそれを一層子ども達に印象づけることに成功した。長谷川らはこの映画のシナリオに沿ったプリント教材や演示実験装置を開発し、中学生に抗力概念を非常に高率に定着させることに成功した。長谷川らは「力や電気などの抽象的概念はとらえどころがなく教えられたからすぐに理解できなくても無理はない」「仮説実験授業では日常生活から来る常識と科学の原理や法則と対立する問題を取り上げて、予想を実験で確かめながら科学の法則を体系的に学んでいく教育方法」で「力のおよぼしあい」はその理論を元に制作された映画なので、「まさに科学教育のための映画である」と評価している。
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