代用法
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/10 06:05 UTC 版)
公共の健康に責任を持つ産業界と規制機関は、ドレイズ試験の実施件数削減を望む声を受けて、実験動物を使用しない試験法の評価を積極的に行っているが、2008年現在のところ、経済協力開発機構(OECD)により、眼や皮膚に対する刺激性試験の代替法として採用された試験方法は存在していない。しかし、2000年度以降のOECDは腐食性試験の代替法を採用しており、これは、酸、アルカリ、その他の腐食性を示す化合物の試験に関しては、実験動物を使用するドレイズ試験がもはや必要とされないことを意味する。代替試験には、ヒト皮膚等価モデルや皮膚腐食性試験(transepicutaneous resistance test:TER) の手法が含まれるほか、試験物質単体の化学的性質も考慮に加えられる。 その他のin vitro やex vivo の試験法には、ウサギやニワトリの摘出眼球を用いる試験のほか、摘出ウシ角膜試験法(bovine corneal opacity and permeability:BCOP)、受精鶏卵漿尿膜試験法(Hen's Egg Test ChorioAllantoic Membrane:HET-CAM)、ヒト角膜培養細胞による上皮モデル(epithelial model cultivated from human corneal cells)による試験などがあり、眼に重大な刺激を与える試験物質の探索研究で利用・報告されている。 1995年には欧州委員会とイギリス内務省から資金提供を受け、生きた動物を使用するドレイズ眼粘膜刺激性試験法の代替法となりえる可能性のある、上記の試験法を含む計9種類の試験法の評価を行った。その結果として、これらの試験法のうちのいずれも、単独で用いた場合には、動物実験の代替法として信頼できる手法であることが証明されなかった。しかし、事後解析(Post-hoc analysis)からは、試験法のうちのいくつかの組み合わせは、"優れた成績"を示すことが確認された 。 生きた動物を利用しないこれらの代替試験による良好な結果は、イギリス健康安全局(Health and Safety Executive)やアメリカ保健社会福祉省のような管轄機関に受け入れられているが、現在のところ非刺激性化合物としての判定を下すには、実験動物を用いたさらなるin vivo 試験が要求されている。そのためこれらの機関は、皮膚および眼の刺激試験に関して、ドレイズ試験により実験動物に過酷な影響を与える化合物を試験する件数を減らすために、代替法を取り入れた段階的な試験を行う戦略を採用し始めている。 2009年9月のOECDで、2種のドレイズ眼粘膜刺激性試験の代替法が採用された。より詳細な情報については、欧州代替法評価センター(ECVAM)内の、動物実験代替法の評価・検証および承認の進捗状況追跡システム(TSAR)のウェブページを確認するか、以下のサイトを参照のこと。 ドレイズ眼粘膜刺激性試験の代替法研究の一里塚を歓迎(Draize rabbit eye test replacement milestone welcomed) ウシ摘出角膜試験法(Bovine Cornea Opacity Test:BCOP) 単離ニワトリ眼球試験(Eye Irritation Isolated chicken eye test:ICE)
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