他の動物門との関係性
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/13 07:38 UTC 版)
左右相称動物 後口動物 棘皮動物門、 脊索動物門など 前口動物 冠輪動物 環形動物門、 軟体動物門など 脱皮動物 鰓曳動物門など 線形動物門など 汎節足動物 有爪動物門 緩歩動物門 節足動物門 節足動物の系統的位置 「汎節足動物」、「脱皮動物」、および「側節足動物」も参照 節足動物と他の動物門の類縁関係は長らく議論をなされ、20世紀末と2000年代を介して劇的に更新された。21世紀以前では、前口動物で体節制を持つなどの共通点から、節足動物と環形動物は近縁である同時に、舌形動物(シタムシ)・有爪動物(カギムシ)・緩歩動物(クマムシ)という3つの動物門は、両者の中間形態を示唆するという考えが主流であった。これらの動物群は、体節動物(Articulata)という単系統群を構成すると考えられ、中でも有爪動物と緩歩動物は節足動物に内包され、もしくは舌形動物・有爪動物・緩歩動物がまとめて側節足動物(Parathropoda)として区別される経緯すらあった。 しかし21世紀以降では、分子系統学をはじめとする多方面(遺伝子発現・解剖学・発生学)の進展により、環形動物は他の体節動物に類縁でなく、むしろトロコフォア幼生を共有する軟体動物などと共に単系統群の冠輪動物(Lophotrochozoa)に属するものであると判明した。同時に他の体節動物も環形動物より、むしろ脱皮などの性質を共有する線形動物などと単系統群になると判明し、脱皮動物(Ecdysozoa)として区別されるようになった。かつて体節動物の根拠とされてきた環形動物と他の体節動物の体節制も、後に発生学と遺伝子発現の違いにより別起源(収斂進化)であることが示唆される。更に、かつて側節足動物ともされてきた群の中で、緩歩動物と有爪動物は節足動物に内包されない独立の動物門として広く認められる一方、舌形動物は独立した動物門ではなく、鰓尾類に近縁の甲殻類、すなわち極端に特化した節足動物の一員だと判明した。 その結果、古典的な「体節動物」と「側節足動物」はいずれも系統関係を反映できない多系統群として解体され、徐々に21世紀以降の分類体系から廃止された。21世紀、特に2000年代後期以降では、脱皮動物の中で、節足動物・有爪動物・緩歩動物という3動物門が単系統群を構成する説が広く認められ、まとめて汎節足動物(Panarthropoda)と呼ばれている。 なお、脱皮動物と汎節足動物の単系統性が広く認められるものの、汎節足動物と他の脱皮動物(環神経動物 Cycloneuralia)の系統関係ははっきりしておらず、汎節足動物内の3動物門は形態の類似と分子系統解析の食い違いにより、お互いの系統関係は諸説に分かれている。これらの議論の詳細については汎節足動物#系統関係および汎節足動物#内部系統関係を参照のこと。 多毛類に現れるように環形動物は明瞭な体節制をもつが、汎節足動物とは遠縁である。 センチュウ(線形動物)は汎節足動物と同様に脱皮で成長する。 シタムシの外見は節足動物らしからぬ、かつて独自の動物門(舌形動物)とされていた。 カギムシ(有爪動物)は節足動物のように特化した数対の頭部付属肢と脳神経節を持つ。 クマムシ(緩歩動物)の胴部は節足動物に似た神経節をもつ。
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