仏像の作例
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/22 02:50 UTC 版)
経典や儀軌には二臂、四臂、六臂、十八臂、五十四臂、八十四臂を説くが、日本では『七倶胝仏母所説准提陀羅尼経』(唐・不空 訳)が広まり、そこで詳述された像容・一面三目十八臂とするものが最も多い。『仏説持明蔵瑜伽大教尊那菩薩大明成就儀軌経』(宋・法賢 訳)には、四臂は赤色(蓮華部)、六臂は黄色(宝生部)、十八臂は白色(仏部)と述べられている。また、その手の本数が多いことから、その尊像は時に千手観音と混同される場合もあるが、正面の左右の二手が「説法印」 を結んでいるのが准胝観音で、「合掌」をしているのが千手観音である。なお、醍醐寺准胝観音坐像のように、蓮華座の下に難陀・跋難陀の眷属二大龍王がいる造例が多い。 准胝観音は日本でも禅宗でよく拝まれ、黄檗宗、曹洞宗、臨済宗等の僧堂にその尊像が祀られているのを見ることができ、また、真言宗の泉涌寺の皇族が拝まれた秘仏も知られているが、いずれも江戸時代以降の作であり、奈良時代や平安時代の密教における単独の造像例はあまり多くない。真言宗智山派の寺である、京都・大報恩寺(千本釈迦堂)の六観音像(重要文化財)中には准胝観音の像がある。奈良・新薬師寺旧蔵の伝・千手観音立像(重要文化財、文化庁保管)は、その像容から本来は准胝観音像と考えられている。
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