今日の活版印刷
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/06 08:34 UTC 版)
活版の技術は、以降改良を加えられながらも5世紀にわたって印刷の中心に居続けた。改良と言ってもそれらは活版印刷の原理に直接踏み込むものではなかった。しかし、写真植字(写植)とDTP(デスクトップ・パブリッシング)化がその命脈を途絶えさせた。デジタル製版が可能になり、現在の日本では活版印刷は絶滅に近い。名刺・はがき程度の印刷を担う印刷業者はあるものの、本を一冊分、というような会社はほとんどない。 日本では21世紀初頭にかけて、活版印刷所が相次ぎ廃業し、使っていた機械が廃棄された。だが2019年時点でも、手作り感などを求めて活版印刷を請け負う企業や工房があり、愛好者を交えたイベント(西日本を対象とした「活版WEST」)が開催されている。 活版印刷で書籍を組んで刷るということは、単に版面を構成する文字を並べるだけでも膨大な数の活字が必要になる。これはアルファベットでもそうであるし、日本語や中国語など字種の多い文字言語においてはより顕著である。また、行間や余白は写植・DTPにおいては文字どおり「何もない空間」であるが、活版ではインテルやクワタなどの込め物によって詰められた、まさに「充満した空間」なのであって、それらがまた金属(あるいは木)であるゆえにその分の重量も半端なものではない。さらに大量印刷の為には原版刷りではなく、紙型を取って複製する設備なども必要であるなどの特徴がある。これは、印刷そのものよりも手前の工程において、大量の資材と人手を要することを意味する。
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