人体冷凍保存のルーツはSF小説
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「ロバート・エッチンガー」の記事における「人体冷凍保存のルーツはSF小説」の解説
エッチンガーは、ヒューゴー・ガーンズバックのアメージング・ストーリーズ誌を読んで育った。そして近い将来、生物学者が若返りの泉の秘密を解き明かすと信じていた。1930年代も後半になって大人になるにつれ、それにはもっと時間がかかるのではないかと考えるようになった。 アメージング・ストーリーズ1931年7月号に掲載されたニール・R・ジョーンズの The Jameson Satellite(日本語題「機械人21MM-392誕生! ジェイムスン衛星顛末記」)では、ジェイムスン教授は死体が地球周回軌道に乗り、ほぼ絶対零度で死体が保存されたことになっていた(科学的には正しくない)。そして数百万年後、人類は既に滅亡していたが、脳を機械の体に収めた機械人に拾われる。彼らはジェイムスンの脳を修復し、機械の体に入れ、仲間にした。 エッチンガーはこれを読み、異星人が冷凍された人間の死体を使ってテクノロジーによる不老不死を達成できるなら、未来の人類にできないはずはなく、冷凍保存することで将来の医学の進歩によって救われるのを待つことができるはずであると考えた。 1947年、エッチンガーはそのアイデア(一方向の医学的タイムトラベル)を短篇小説の形にした。この小説 The Penultimate Trump(最後から2番目の切り札)は『スタートリング・ストーリーズ』の1948年の号に掲載され、エッチンガーは人体冷凍保存というパラダイムの創始者となった。すなわち、「死」の医学的/法的定義は相対的なものであり、医療技術のレベルに深く依存していると考えた。例えば、アマゾンの奥地で心筋梗塞で死んだ人も、もし大都会の医療が進んだ地域でなら助かったかもしれないという考え方である。エッチンガーは、それが地域差だけに留まらず、時代の差によっても生じると考えた。
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