予算の厳しさ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/30 15:52 UTC 版)
2000年代以降の大半のメディアミックス作品では、製作委員会方式を利用した出資・制作・収益確保のシステムが構築されている。そのため、利点・問題点については制作委員会方式のそれと多くは共通しており、資金面で見た場合には、出資した各企業が利益を上げる、裏を返せば赤字を出さないことが、作品が成功したと判定されるための絶対条件となる。その一方で、出資者側の都合などにより、テレビアニメなどを従来型システムの作品よりも遥かに低予算で制作する必要に迫られることも少なくない。これにより、資金面でいえば収益の管理の他に、制作初期の段階から予算管理が極めてシビアなものになることが見られる。 それらは、アニメ作品などでは予算超過への懸念から制作スタッフが作画、特に枚数を要するアクションシーンなどで大幅な方針転換を余儀なくされたり、バンクシステムの過剰な多用に追い込まれる、あるいは当初予定していた高い実力と知名度を持つスタッフが起用できないなどといった事態が発生する要因となっている。また、アニメ・声優業界の歴史的経緯や「ランク制」などの業界内部の制度面の事情もあって、声優のギャラなどのコストカットは脇役・端役であろうとも極めて困難であり、結局はそれらのしわ寄せが最終的に作画部門などに集まってしまうことが多く、作画・動画の実制作の現場でコストカットを突き詰め過ぎた結果、品質管理がままならなくなり、最終的に海外のプロダクションに下請けに出していた部分や予算の都合からスタッフの「穴」を埋められなかった部分などで品質面の破綻が起きてしまう、作画監督などのポストに責任を負える力量の人物を配置できずに『アラン・スミシー』的な架空名義が発生してしまう、などの異常な事態にも繋がってくることになる。
※この「予算の厳しさ」の解説は、「メディアミックス」の解説の一部です。
「予算の厳しさ」を含む「メディアミックス」の記事については、「メディアミックス」の概要を参照ください。
- 予算の厳しさのページへのリンク