予知の試行事例
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/17 08:28 UTC 版)
アメリカカリフォルニア州にある人口数十人の田舎町パークフィールド(Parkfield)では、19世紀以来約22年間隔の規則正しい周期でM6級のパークフィールド地震(英語版)が発生していることが分かっていた。次の地震が1988年-1992年の間であるという予測が1980年代に報告されると、アメリカ地質調査所(USGS)・カリフォルニア州地質調査所(英語版)(CGS)・大学などが中心となって1985年から"Parkfield Prediction Experiment"(パークフィールド予知実験)と称した高密度観測を行い、予知を目指した。1992年と1993年にはNEPECが4段階中最高のAクラスの警報(72時間以内に約30%の確率で地震が起きることを意味する)を発表したが、いずれも発生に至らず解除されている。本当の地震は予測から10年以上経った2004年に発生したが、警報は出されず予知に失敗した。 世界では、「地震予知に成功した」という例がいくつか報告されているが、批判が多かったり、普遍的な理論ではなかったりする。1975年に中華人民共和国で発生した海城地震では、地震の前に行政が警報を出して、多くの住民を避難させており、死傷者が少なく済んだと伝えられている。 ただしこの事例は、一般的には珍しい顕著な前震を根拠に警報を出した特殊な事例で、全ての地震に適用できるものではないと分析されている。事実、翌1976年の唐山地震では、前兆の報告はあったものの決定的な情報がないまま警報を発表することができず、結果的に20万人以上が死亡した。 ギリシャではVAN法による地震予知が1990年代に注目を集めた。1995年5月-6月に発生したM6級の3つの地震をはじめとして研究者は多くの成功例を報告しているが、成功判定の基準が緩すぎるという批判や、行政に事前通知していたという事例に疑問を呈する指摘もあり、政府は予知を認めなかった。その後もVAN法は続けられているが、同国ではたびたび地震被害に見舞われているほか、予知の成否や報道のあり方がたびたび問題となっている。
※この「予知の試行事例」の解説は、「地震予知」の解説の一部です。
「予知の試行事例」を含む「地震予知」の記事については、「地震予知」の概要を参照ください。
- 予知の試行事例のページへのリンク