乱流運動における最小スケール
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/15 01:54 UTC 版)
「レイノルズ数」の記事における「乱流運動における最小スケール」の解説
乱流において、時間変化するひと塊のスケールでの流体運動が存在する。流体運動(渦とも呼ばれる)の最大サイズは流れの全体のジオメトリーにより決められる。例えば、工業用煙突において渦の最大スケールは煙突そのものの直径と同等の大きさである。最小スケールのサイズはレイノルズ数により決められる。レイノルズ数が大きくなると、小さな渦も可視化されてくる。煙突では、煙は大きな渦に加えて非常に小さな速度の揺れまたは渦を持っているように見えるかもしれない。これらの意味でレイノルズ数は流れスケールの規模についての指標であるといえる。レイノルズ数が大きいと、スケールの範囲も大きくなる。最大の渦はいつも同じサイズとなり、最小の渦はレイノルズ数により決定される。 この現象についての説明はどうなるか?大きなレイノルズ数は粘性力が流れの大きな規模では重要でないことを示す。粘性力に対する慣性力が非常に優位に働くと、流体運動の最大スケールは小さくならない。それはそれらの運動を放散するだけの十分な粘性がないということである。スケールが十分に小さく粘性が重要である(つまりは、粘性力が慣性力のオーダーになる)レベルまでは運動エネルギーが"カスケード"的に大きなスケールから次第に小さなスケールへと低下しなければならない。それは粘性作用によるエネルギーの消失が最終的に行われるのはこれら小さなスケールにおいてということである。それゆえ、最大渦は流れのジオメトリーにより決定され最小渦は粘性により決められるので、レイノルズ数は乱流運動最大スケールと最小スケールの比として理解することができる。
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