九重茶
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/16 09:11 UTC 版)
九重では茶栽培が盛んであり、九重茶と呼ばれている。九重の急傾斜地に茶畑が点在している。独特の栽培法としてチャノキの根元にススキを敷き詰めるという作業を行う。これにより雑草の繁茂を防ぎ、風味がよくなるとされる。 江戸時代中期には既に栽培の記録があり、最盛期は明治・大正期であった。1907年(明治40年)頃には400貫(≒1.5t)の生産量があり、静岡県へ出荷されたほか、出荷先の静岡で「静岡茶」ブランドを冠してアメリカ合衆国へ輸出されていたという。しかし昭和期には茶栽培は副業的になり、1980年代の栽培面積は35a、生産量は最盛期の10分の1に落ち込んだ。2010年(平成22年)には栽培農家は数軒になり、ほとんどが自家消費に回り、市場にはなかなか出回らなくなっている。こうした中、道の駅瀞峡街道 熊野川に隣接する「かあちゃんの店」が自ら茶畑を借用して九重茶を栽培し、収穫した九重茶を使った料理を2001年(平成13年)から同店で提供している。 九重には九重茶を使った郷土料理「茶粥」がある。茶粥は江戸時代の厳しい年貢の取り立てでご飯を十分に食べられなかった農民が、少量の米でも満足感を得られるように考案した料理であり、村人の楽しみにまで昇華させたものである。作り方はシンプルで、九重茶を煮だして生の米を入れて更に煮て、塩を入れるだけである。茶粥は漫画『美味しんぼ103巻』の「日本全県味巡り和歌山編」で取り上げられ、作中で山岡士郎は茶粥を生み出した和歌山の人の気概をもって「和歌山を知ると日本の真の姿を知る事が出来る」と語っている。
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