主な技術管理項目・品質上のポイント
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2013/07/30 02:36 UTC 版)
「コイルセンター」の記事における「主な技術管理項目・品質上のポイント」の解説
コイルセンターで管理される技術管理項目は極めて多岐に渡る。ここでは基本的な事項について紹介する。また、その他の品質を管理する上でのポイントについても、多少言及する。 寸法精度…加工後の寸法精度(主に幅・長さ)は、そのコイルセンターの技術力を測るもっとも基本的な要素であるため、各業者がその向上にしのぎを削っている。加工内容や、完成後の鋼板の大きさ・板厚などによって微妙に保証値が異なってくるので、必要に応じて確認する必要がある。直角度や平坦度などにも保証値が存在する場合がある。なお、板厚については、素材コイルを製造したメーカーの精度がそのまま残るため、コイルセンター側では特に言及されない(通常はJIS規格一般相当)。厳しい板厚保証が必要な場合は、個別に素材コイルを鉄鋼メーカーに発注する必要がある(価格が上昇・納期がかかる)。 レベラーの能力…鋼板の形状をどの程度矯正できるかは、コイルセンターにとって重要な能力の一つである。矯正用のロールを増やしたり、矯正時に鋼帯に張力をかける(テンションレベラー)ことで、矯正能力を増大させることが可能であるが、ライン制御が難しくなるため、高い技術が求められる。 切断部の性状…コイルセンターでの加工の多くは剪断のため、切断部には必ずバリが発生する。バリの形状や高さがどの程度なのかは、後処理の必要性を判断するのに重要な項目であり、各業者ごとで保証値が微妙に異なる。これらは加工する鋼種や物理的大きさなどによって変化することに配慮すべきである。また、切断面をよく観察すると、比較的きれいな部分と粗い部分に区分されるが、後者(脆性破断面)が占める比率をできるだけ小さくする方が、後の加工に有利である。これは切断する材料の性質・寸法、刃の品質と当たり方、さらには作業スピードや作業時の温度など、さまざまな要素によって変化するため、各業者でさまざまなノウハウが蓄積されている。 クラウンの制御…鉄鋼メーカーで製造されたコイルは、圧延時に圧延ロールがたわむため、板幅の中央部がやや厚く、両端部がやや薄くなり、凸レンズ状の板厚プロフィールを持つ。これをクラウンと呼ぶが、その差異は概ね数十μm以下である。しかし、特にスリット加工時においては、このわずかな板厚の差異が様々な障害を起こすため、コイルごとに特徴を読み取り、微妙な調整をする必要がある。特にフープごとに仕上がり幅が異なるような作業をする際には、この調整の巧拙が仕上がりに大きく影響する。 ラインの清掃…鋼材を加工する際には必ず加工屑が発生する。これらは当然回収・リサイクルされるが、ライン内部にも微細な粒子が付着している。同一鋼種の切断を続ける場合は問題ないが、普通鋼とステンレス、あるいはめっき鋼板・カラー鋼板が交互に加工される場合等では、違う鋼種の粒子が存在すると、それを起点としてもらい錆が発生することがある。また、塗油の種類によっては、ライン内に油が付着してしまい、思わぬトラブルの原因になる。こうしたことを防ぐために、各ラインでは一定のルールを設けてラインの清掃を行っている。非常に地味な項目ではあるが、日本のコイルセンターはこの管理が優れており、諸外国との品質優位性を支える一つになっている。
※この「主な技術管理項目・品質上のポイント」の解説は、「コイルセンター」の解説の一部です。
「主な技術管理項目・品質上のポイント」を含む「コイルセンター」の記事については、「コイルセンター」の概要を参照ください。
- 主な技術管理項目品質上のポイントのページへのリンク