中王国以前の文学
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/02 09:35 UTC 版)
古代エジプト語はその変化に基づいて古エジプト語、中エジプト語、新エジプト語、デモティック、コプト語の5つに分類されている。古エジプト語とよばれるのは初期王朝時代から第1中間期前半(第8王朝)時代頃までのエジプト語である。中エジプト語は、第1中間期から新王国時代までのエジプト語である。中エジプト語は古エジプト語に比べ細かいニュアンスなどの表現が可能になっており、文章語としてほぼ完成された物であった。そして第1中間期の後半から中王国時代にかけて、この中エジプト語を用いてエジプト文学の古典が次々と生み出されていくのである。 古代エジプトの文学作品は古王国時代の物は基本的に知られておらず、その末期頃になるとピラミッド・テキストや墓に書かれる自伝など葬祭文書が現れるようになる。第1中間期になると当時の世相を反映した文学作品が中エジプト語で残されるようになり、次第に文学が隆盛していく様が見て取れる。古王国時代に成立したと思われる文学作品でも現存するものは中エジプト語のバージョンである場合も多い。 第1中間期には統一政府の崩壊に伴って統一的な文字教育が失われた。第1中間期に記述されたヒエラティックと呼ばれる草書体の文字は地域的な変形が見受けられている。しかし統一政権が成立すると、政府は官僚機構の運営にあたる書記を養成するために書記養成学校を築いた。主として中王国時代の文学を担ったのはここで文字を学んだ書記たちであった。
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