中村説
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/03 21:34 UTC 版)
中村は民法典論争の本質論に踏み込んで、基本的には仁井田説を支持しつつも、以下のように主張した。 筆者はこの論争をもって当時存在していた仏法派対英法学派の、一面感情的にして他面極めて功利的な、学派の対立に由来するものと見るものであるが、それを助長し発展させ、あのような大論争に至らしめた原因は、条約改正に関連する政治的立場の違いであると思う。…それは一方において国権の確立のためには条約の改正がぜひ共必要であり…附帯的条件として法典の編纂が必要であるという政府…の考え方であり、他方において条約改正の手段として法典の編纂を約束することは主権の侵害であり、内治干渉…とする見解である。前者が断行派に後者が延期派に加担したのであって、単に後者がブルジョア的、後者が封建的であったとはいい得ない。…旧民法・明治民法両者を比較すると旧民法の内容が如何に反動的なものかわかる。…この法典をブルジョア民主主義的として打ち出すことは誤りである。 — 中村菊男 旧民法の方が反動的な根拠としては、婚姻に関する父母(祖父母)の同意権を厳重に定めていることや(人38~40条)、協議離婚に付き許諾を要していたことなどが指摘され、人間性無視、妻の地位を大家族制度の中に縛る封建的規定の最たるものと批判される(この点は星野も同意)。 旧民法人事編79条 離婚せんとする夫婦は婚姻許諾の為め第4章1節に定めたる規則に従ひ各其父母、祖父母又は後見人の許諾を受くることを要す 仏民法旧278条(箕作訳) 如何なる場合に於ても婚姻の巻第150条に定めたる規則に従ひ父母又は其の他の生存する存続親より許可せられたるに非ざれば夫婦双方の承諾を以て足れりとせず
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