中南米・オセアニア
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/12 00:09 UTC 版)
アルゼンチンでは戦前から、探偵小説がかなり書かれており、1940年代には、アメリカのミステリ雑誌『Ellery Queen's Mystery Magazine』に投稿がみられる。第3回短編ミステリ・コンテストにはホルヘ・ルイス・ボルヘス ( Jorge Luis Borges、1899-1986)の「迷路の花園」が入選した。ボルヘスの推理小説およびミステリ風小説は、「死とコンパス」(1942)、「裏切り者と英雄のテーマ」(1944) 、 「エンマ・ツンツ」(1949) などがある。1942年、服役中のドン・イシドロ・パロディという究極の安楽椅子探偵もの連作『ドン・イシドロ・パロディ 六つの難事件 』(Seis problemas para don Isidro Parodi )が 刊行され、オノリオ・ブストス・ドメックと名乗る作者は謎だったが、ボルヘスとアドルフォ・ビオイ・カサレス( Adolfo Bioy Casares )の合作だと後に判明した。他に、パブロ・デ・サンティスの世界の名探偵12名が事件の解明を競い合う『世界名探偵倶楽部』(El enigma de París)や、ギジェルモ・マルティネスの映画化された『見えざる犯罪』(Crímenes imperceptibles)は日本でも翻訳されている。 ウルグアイではチャンドラー作品の続編を書いたイベア・コンテリース(Hiber Conteris )の『マーロウ もう一つの事件』、コロンビアの ホルヘ・フランコ (Jorge Franco )の『ロサリオの鋏』など が、本国のほか英訳されて刊行されている。ブラジルのJ・ソアレス(Jô Soares )には、『シャーロック・ホームズ リオ連続殺人事件』(O Xangô de Baker Street )というホームズものパロディがある。 オーストラリアのアーサー・アップフィールド(Arthur Upfield )は、『バラキー牧場の謎』(1929)そして『ボニーと砂に消えた男』(1931)にはじまる、先住民アボリジニとの混血であるボナパルト警部が、豪州の大自然を舞台に活躍する作品群を量産した。また、S・H・コーティア(Sidney Hobson Courtier )は、『謀殺の火』(1967)など、アボリジニの神話や風俗を主題にした作品を発表している。
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