中世・ルネサンス時代
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/15 00:57 UTC 版)
「トランペット」の記事における「中世・ルネサンス時代」の解説
10世紀頃ヨーロッパ各地においては、ツィンク (Zink) が作られるようになっていた。この楽器は象牙または木の管に穴を開けて、倍音以外の音も出せるようにしたものである。このシステムはペルシアからヨーロッパに流れてきたといわれている。当時は2〜4つの穴が開けられていたものであったが、15から18世紀の間に、フルートからヒントを得て、表に6つと裏に1つ、計7つの穴が開けられ、音階の演奏が可能になった。ツィンクは19世紀まで用いられていた。 12世紀に入ると管を接続することが可能になる。チューバ、リトゥスはビザンチンを通ってアラビアの影響を受け、非常に長い楽器が作られるようになり、管形が円筒に近づいていった。中世初期のこの円筒形のトランペットは、クラーロ (claro) あるいはブイジーヌ (buisine) と呼ばれていた。 1240年には、イタリアのフェデリーコ2世がトゥベクタ (tubecta) という楽器を作らせた記録があり、この言葉がトロンベッタ (trombetta) あるいはその後ダンテ・アリギエーリの詩に初めて現れるトランペット (trumpet) という語の起こりである。トゥベクタもローマ時代のチューバという語の縮小形である。この楽器がどのような形であったか不明であるが、現在のトランペットにかなり近づいたS字形の管を持つ楽器は、1400年に最古の資料が残っている。 それから30年後には現代と同じ巻管のものが現れた。当時巻管のものはクラリオン (clarion)、直管のものはトロンバ (tromba) との古文献の記載があるが、前者は高音域用のトロンバ(トランペット)のことで、楽器の構造が異なるところはない。長い楽器は基音(第1倍音)が低くなるので、高次の倍音が出しやすく、バロック時代に至ると簡単なメロディーが演奏できるようになった。
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