世界の国家緊急権
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/13 00:15 UTC 版)
憲法に国家緊急に関する規定が無い国は、アメリカ、カナダ、イギリス、日本など少数である。ケネス・盛・マッケルウェイン東大教授の研究によると、1789年から2013年までに制定された約900にのぼる憲法をデータ分析すると、2013年時点で、フランス・ドイツ・イタリア・スイス・スペイン・韓国など93.2%の憲法に何らかの緊急事態条項が含まれている。このデータから玉木雄一郎衆院議員は緊急事態条項は憲法における最も共通した項目の一つと指摘している。日本もオブザーバー参加している、欧州評議会の下に1990年から置かれた憲法の諮問機関として、加盟国に法的助言を行う「ヴェニス委員会」も「憲法に明確な緊急事態権限について定めることこそが、人権保障や民主主義、法の支配にとって有益だ」との見解を明らかにしている。ただし、同じくマッケルウェイン教授の研究によると、緊急時における人権保護規定の停止や緩和規定が憲法に盛り込まれている割合は63.7%であり、過大な権力を委任することには、特に第2次世界大戦後、慎重になっている傾向が見られる。更に、緊急事態において、法律と同等の効果を持つ政令を内閣が発出することができる旨を憲法に定めているのは7.4%にとどまっている。 新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大に伴い、各国では緊急事態宣言の発出や行動規制措置(外出規制、営業規制等)の導入が行われたが、その根拠となる法制はおおむね次の3とおりに大別され、必ずしも全ての国で憲法上の国家緊急権(緊急事態条項)を根拠としたわけではないと考えられる。 憲法の緊急事態に関する規定で緊急事態宣言の発出や行動規制措置した国(イタリア、スイス、スペイン) 憲法に緊急事態に関する規定はあるが、新型コロナウイルス対応については法律の規定による措置を行った国(中国、フランス、ドイツ、韓国、インド) 憲法に緊急事態に関する規定が無く(成文憲法典を持たない不文憲法国を含む)、法律の規定によって行われた国(アメリカ、カナダ、イギリス、日本)
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