下級官庁への通達
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/20 23:18 UTC 版)
国から地方公共団体への通達は、1999年以前は地方分権化一括法による改正前の地方自治法第150条に基づく機関委任事務に関する指揮命令に当たるものであった。2000年4月1日より施行された地方分権一括法により機関委任事務が廃止されたことで、地方公共団体に対する指揮監督権の行使としての通達という概念はなくなった。また一連の地方分権改革においては、国と地方公共団体の関係を上下・主従の関係から対等・協力の関係に転換することが目的とされ、通達という名称についてもこの趣旨に則り廃止された。 これに伴い、それまで指揮監督権に基づき拘束力のあるものとして発出されていた通達のうち、法定受託事務に係る処理基準として、引き続き拘束力を有する必要があるものは、地方自治法第245条の9に基づく処理基準であることを明示して存続することとし、かつその内容も目的を達成するために必要最小限のものでなければならないとされている。また従来から技術的な助言又は勧告として出されていた通達については、法的拘束力のない参考文書として位置付けられるが、時代にそぐわないものも多い。その内容の整理が行われ名称も通知等と改められた。 ただし、これ以後も国の通知は無条件に遵守されるべきとの認識に変化はなく、時にトラブルを生じることがあった。例えば2018年に起こった「ふるさと納税高額返礼品騒動」は通達をめぐる珍騒動である。これは、技術的助言として発出された平成30年4月1日総務大臣通知「ふるさと納税に係る返礼品の送付等について」に対して一部の地方公共団体が従わなかったため、下級官庁の反逆に激怒した総務省が様々な恫喝や懲罰を行った末に、自治事務である住民税の寄付金控除について総務省の許可制に制度改正されたものである。 また、これとは別に個別法により国や都道府県が下級官庁に指導権限が付与されていることがある。例えば市区町村の消防署が行う危険物の規制に関する事務は自治事務であり、国は技術的助言を行うのみであるが、消防組織法第37条に消防庁長官の指導権限が付与されているため、必要があれば危険物の規制を含めた消防業務に関して指導することができる。
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