一階の言語
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/01 09:48 UTC 版)
一階述語論理の言語(一階の言語)は次のものからなる: 論理記号 (logical symbol)変数(あるいは個体変数)と呼ぶ記号の集合: V = { x 1 , x 2 , ⋯ } {\displaystyle V=\{x_{1},\,x_{2},\,\cdots \}} 結合記号: ¬ {\displaystyle \lnot } , ∧ {\displaystyle \land } , ∨ {\displaystyle \lor } , ⇒ {\displaystyle \Rightarrow } , ⇔ {\displaystyle \Leftrightarrow } 量化記号: ∀ {\displaystyle \forall } , ∃ {\displaystyle \exists } 括弧: ( {\displaystyle (} , ) {\displaystyle )} , [ {\displaystyle [} , ] {\displaystyle ]} , { {\displaystyle \{} , } {\displaystyle \}} 等号: = {\displaystyle =} (含まなくてもよい。) 非論理記号 (nonlogical symbol)述語記号と呼ぶ記号の集合(有限集合でも無限集合でもよい)。各述語記号にはアリティ(arity)と呼ぶ引数の個数に相当する正の整数が一つ対応しているものとする。 関数記号と呼ぶ記号の集合(有限集合でも無限集合でもよい)。各関数記号もアリティを持っているものとする。 定数記号と呼ぶ記号の集合(有限集合でも無限集合でもよい)。 一階の言語は、それが等号を持つかどうか、非論理記号に何を持っているかを決めることによって定まる。例えば集合論においては、等号を持ち、非論理記号としてはアリティ 2 {\displaystyle 2} の述語記号 ∈ {\displaystyle \in } ; だけをもつ一階の言語(集合論の言語)が使われる。以下に一階の言語について、いくつかの注意を述べる。 等号 = {\displaystyle =} はアリティ 2 {\displaystyle 2} の特別な述語記号として扱われる。どの一階の言語にも等号を含めて少なくとも一つは述語記号が含まれていなけらばならないものとする。 アリティ n {\displaystyle n} の述語(関数)記号を、 n {\displaystyle n} 変数述語(関数)記号と呼ぶこともある。 記号は一つの用途のみに用いる。すなわち、一つの一階の言語において、ある記号が述語記号であると同時に定数記号でもあるということや、論理記号であると同時に関数記号でもあるというようなことがあってはならない。 いくつかの結合記号や量化記号は言語にもともと含まれている記号ではなく、省略記法として定義によって導入される場合がある。例えば、 ⇔ {\displaystyle \Leftrightarrow } ; は言語に含まれず、 ( ϕ ⇔ ψ ) {\displaystyle (\phi \Leftrightarrow \psi )} は [ ( ϕ ⇒ ψ ) ∧ ( ψ ⇒ ϕ ) ] {\displaystyle [(\phi \Rightarrow \psi )\land (\psi \Rightarrow \phi )]} を表すものとして定義される場合もある。上の論理記号すべてを用いて表現される命題は、例えば ¬ {\displaystyle \lnot } 、 ∨ {\displaystyle \lor } 、 ∃ {\displaystyle \exists } や ¬ {\displaystyle \lnot } 、 ⇒ {\displaystyle \Rightarrow } 、 ∀ {\displaystyle \forall } だけを用いても十分に表現できることが知られている。 文献によっては、 ⇒ {\displaystyle \Rightarrow } の代わりに ⊃ {\displaystyle \supset } ; を用い、 ∀ {\displaystyle \forall } の代わりに Π {\displaystyle \Pi } ; を用いている場合がある。 同一性関係を一階述語論理の一部とみなす場合もある。その場合、等号は必ず言語に含まれることになる。常に等号が含まれることを仮定した一階述語論理を等号付き一階述語論理と呼ぶ。 定数記号はアリティ 0 の関数記号と呼ぶこともある。 上の定義では述語は 1 以上のアリティを持つとされているが、アリティ 0 の述語も考えることができ、それらは「真」や「偽」を意味するものと考えることができる。しかし「真」は ∀ x ( x = x ) {\displaystyle \forall x(x=x)} などと別の方法で表せるので、アリティ 0 の述語を導入することに大きな意味はない。 括弧の使い方の流儀は様々である。ある人は ∀ x {\displaystyle \forall x} を ( ∀ x ) {\displaystyle (\forall x)} と書く。括弧の代わりにコロンや終止符を使う場合もある。もちろんその場合には、言語にコロンや終止符を含めておく必要がある。括弧を全く使わない表記法にポーランド記法(Polish notation)と呼ぶものがある。これは、 ∧ {\displaystyle \land } ; や ∨ {\displaystyle \lor } ; を先頭に書いて ( ϕ ∧ ψ ) {\displaystyle (\phi \land \psi )} の代わりに ∧ ϕ ψ {\displaystyle \land \phi \psi } のように書く方法である。ポーランド記法はコンパクトで数学的に取り扱いやすいという利点があり、可読性が低いという欠点がある。
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