一階偏微分方程式の特性曲線
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/05/04 07:28 UTC 版)
「特性曲線法」の記事における「一階偏微分方程式の特性曲線」の解説
一階の偏微分方程式(PDE)に対する特性曲線法では、それが常微分方程式(ODE)となるようなある曲線(特性曲線あるいは単に特性線と呼ばれる)を探すことになる。そのようなODEが見つかれば、特性曲線に沿って解いた後に元のPDEに対して解を変換すれば良いことになる。 ここで、二つの独立変数 x と y の函数のケースを取り上げる。次の形の準線型[要曖昧さ回避]偏微分方程式を考える: a ( x , y , z ) ∂ z ∂ x + b ( x , y , z ) ∂ z ∂ y = c ( x , y , z ) . {\displaystyle a(x,y,z){\frac {\partial z}{\partial x}}+b(x,y,z){\frac {\partial z}{\partial y}}=c(x,y,z).} (1) ここで、解 z が得られたとして、R3 内の曲面のグラフ z = z(x,y) を考える。この曲面に対する法線ベクトルは次で与えられる。 ( ∂ z ∂ x ( x , y ) , ∂ z ∂ y ( x , y ) , − 1 ) . {\displaystyle \left({\frac {\partial z}{\partial x}}(x,y),{\frac {\partial z}{\partial y}}(x,y),-1\right).\,} これは次のようにして分かる。x,y方向の接ベクトルをそれぞれ n 1 {\displaystyle n_{1}} , n 2 {\displaystyle n_{2}} とすると、これらは例えば n 1 = ( 1 , 0 , ∂ z / ∂ x ) d x {\displaystyle n_{1}=(1,0,\partial z/\partial x)dx} , n 2 = ( 0 , 1 , ∂ z / ∂ y ) d y {\displaystyle n_{2}=(0,1,\partial z/\partial y)dy} となる。これらの外積から上述の法線ベクトル(と平行なベクトル)が得られる。 したがって式 (1) は、ベクトル場 ( a ( x , y , z ) , b ( x , y , z ) , c ( x , y , z ) ) {\displaystyle (a(x,y,z),b(x,y,z),c(x,y,z))\,} が全ての点において曲面 z = z(x, y) に接するという幾何学的な内容を意味する。言い換えると、解はこのベクトル場の積分曲線の合併となる。これらの積分曲線は、元の偏微分方程式の特性曲線と呼ばれる。 特性曲線の方程式は、ラグランジュ=シャルピ方程式によって次のように不変な形で表すことが出来る: d x a ( x , y , z ) = d y b ( x , y , z ) = d z c ( x , y , z ) . {\displaystyle {\frac {dx}{a(x,y,z)}}={\frac {dy}{b(x,y,z)}}={\frac {dz}{c(x,y,z)}}.} また、この曲線のパラメータ化 t が固定された場合、これらの方程式は x(t), y(t), z(t) に対する次の連立常微分方程式として書くことが出来る。 d x d t = a ( x , y , z ) , d y d t = b ( x , y , z ) , d z d t = c ( x , y , z ) . {\displaystyle {\begin{aligned}{\frac {dx}{dt}}&=a(x,y,z),\\{\frac {dy}{dt}}&=b(x,y,z),\\{\frac {dz}{dt}}&=c(x,y,z).\end{aligned}}} これらを元の偏微分方程式の特性方程式 (characteristic equation) という。
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