一銭錫貨
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/19 15:38 UTC 版)
「臨時補助貨幣#昭和19年制定の錫貨幣」も参照 品位:錫50%、亜鉛50% 量目:1.3g 直径:15mm 図柄:菊花紋章、唐草、「一錢」(表面)、「大日本」、年号(裏面) 周囲:平滑 発行開始:1944年(昭和19年) 当時の著しい戦況悪化による物資不足に伴い、アルミニウムを貨幣素材とする余裕もなくなったことから、当時の日本が占領下においた東南アジアで豊富に産出した錫を用いて製造したものである。同時期の十銭錫貨・穴あき五銭錫貨が錫に少量の亜鉛を混ぜた組成となっているのに対し、この一銭錫貨は錫と亜鉛を等量含むため、「一銭錫亜鉛貨」とも称されるが、いずれも本来貨幣には適さない金属であり、当時もはや貨幣素材としての適性を考慮する余裕がなかったことからこれらの錫貨がやむなく発行された。戦況が更に悪化すると錫の調達も困難な状況になったことから、十銭錫貨や穴あき五銭錫貨が発行開始と同年の1944年(昭和19年)のうちに製造中止となり、日本の造幣局は辛うじて一銭錫貨のみ製造を続けるという状況となった。 終戦後の1945年(昭和20年)8月にも製造されたが、その終戦後の製造分については、国名表記が「大日本」で戦前色の濃いデザインであるとの指摘がGHQからあったため発行されず鋳潰され、製造を終了した。以降、1銭単位の貨幣はインフレーションによってほとんど価値を失ったため、製造が再開されないまま1953年(昭和28年)に小額通貨整理法が制定され、この時一銭硬貨を含む銭・厘単位の硬貨・紙幣が全て通用停止となった。
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