一般的なスプライシング機構
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/22 23:47 UTC 版)
「選択的スプライシング」の記事における「一般的なスプライシング機構」の解説
詳細は「RNAスプライシング」を参照 DNAから転写されたmRNA前駆体(pre-mRNA)には、いくつかのイントロンとエクソンが含まれている(転写された1つのpre-mRNAには、線虫では平均して4–5個、ショウジョウバエでは100個以上のイントロンとエクソンが含まれていることもある)。mRNA中にどのエクソンが保持されるかは、スプライシングの過程で決定される。スプライス部位の調節と選択は、エクソン内スプライシングエンハンサー、エクソン内スプライシングサイレンサーといったpre-mRNA自身に存在するシス作用エレメント、そしてトランスに作用するスプライシング活性化因子とスプライシング抑制因子によって行われる。 真核生物の典型的なイントロンには、重要な領域を定義するコンセンサス配列が存在する。各イントロンは5'末端にGU配列を持っている。3'末端の近傍には分枝部位(branch site)が存在する。分枝地点のヌクレオチドは常にアデニン(A)であるが、その周辺配列にはいくぶん多様性が存在する。ヒトの分枝部位のコンセンサス配列はyUnAyである。分枝部位に続いて一連のピリミジン配列(ポリピリミジントラクト(英語版))が存在し、それに3'末端のAG配列が続く。 mRNAのスプライシングは、スプライソソームとして知られるRNA-タンパク質複合体によって行われる。スプライソソームは、U1、U2、U4、U5、U6と名付けられたsnRNPを含んでいる(U3はmRNAのスプライシングには関与しない)。U1は5'末端のGU配列に結合し、U2はU2AF(英語版)タンパク質因子の助けのもと、分枝部位内のAに結合する。この段階の複合体はスプライソソームA複合体として知られている。A複合体の形成は通常、スプライシングで除去されるイントロンの末端と保持されるエクソンの末端を決定する重要な段階である。 U4、U5、U6が複合体に結合し、U6はU1に取って代わる。U1とU4が解離する。その後、残った複合体は2つのエステル交換反応を行う。最初の反応では、イントロンの5'末端が上流のエクソンから切り離され、分枝部位のAに対して2',5'-ホスホジエステル結合を形成する。2番目の反応では、イントロンの3'末端が下流のエクソンから切り離され、2つのエクソンがホスホジエステル結合で連結される。その後、投げ縄型のイントロンが解離して分解される。
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