ロマン主義から歴史主義・歴史学派へ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/04/29 21:32 UTC 版)
「歴史学派」の記事における「ロマン主義から歴史主義・歴史学派へ」の解説
フランス革命およびナポレオン戦争後のヨーロッパでは、それらに対する反動としてロマン主義の風潮が高まったが、具体的にこの風潮は、18世紀の革命が掲げた自由主義や啓蒙思想・自然法思想に対抗して、それらが有していない要素を強調・重視する方向をとった。すなわち、啓蒙思想などが人間の理性・個人の尊重・未来への前進を掲げたのに対し、ロマン主義は一般的に人間の感情・集団への帰属・過去の回顧を強調したのである。 以上のようなロマン主義の思潮は「歴史主義」と呼ばれる新たな方法論を生み出し、ここでは啓蒙主義の抽象的・概念的な思考方法が批判され状況論的思考方法が対置された。J・ヘルダーは、著書『歴史哲学』で宗教感情や民族精神・風土の特有性を強調し、「歴史学派」の源流となった。歴史学派の哲学は、直線的な歴史発展論をとる啓蒙主義に反対し、過去のおのおのの時代に独自性を与え、またヘルダーのように、啓蒙主義がほとんど問題にしなかった地理的な多様性や異質性を重視した。このような認識に基づき、J・メーザーやA・ミュラーらを中心とする(広義の)歴史学派が形成され、その影響は歴史学・法学・経済学などさまざまな学問領域に及んだ。
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