レーダーエコーと気象の関係
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/20 19:07 UTC 版)
「気象レーダー」の記事における「レーダーエコーと気象の関係」の解説
レーダーエコーの画像は雨雲の位置や雨量などの分布を示している。エコー画像からは、それがどういった気象現象であるかを推定することができる。気象衛星の可視光・赤外雲画像では一部しか把握できなかったり、上層雲に隠されて見えなかったりする気象現象も、レーダーエコー画像により観測できる。 エコー画像では、降水強度(降水量)を色分けして表示することが多い。この強度の分布から、降雨のパターンを推定することができる。 降水強度がどの地点でも同じような分布でほとんど同じ色が広がっているような場合、温暖前線やあまり強くない低気圧の通過に伴い、層雲や乱層雲などからあまり強くない雨がしとしとと降っていることが多い。一方、降水強度が地点によって大きく異なっていて画像上にさまざまな色がまばらに分布しているような場合、寒冷前線や発達した低気圧の通過、あるいは大気が不安定となっていることに伴い、乱層雲や積雲・積乱雲などから強度変化が激しいやや強めの雨がザーッと降っていることが多い。 また、エコー画像の時間変化からも気象現象の特徴をつかむことができる。エコー画像で色が着いている部分を降水域(こうすいいき、降雨帯とも)というが、この降水域の移動や生滅の様子から、降雨の元となっている気象現象のパターンを推定することができる。 降水域が大きくまとまって同じ方向に移動し続けている場合、降雨の原因は前線性の対流か大気の不安定のどちらかであることが多い。前線性の対流では、前線の移動に伴って雨雲が同じように移動していく。大気の不安定な時は、多数の雨雲が離れてばらばらに分布しているものの、大規模な大気の流れによって同じように移動していく。また、寿命数十分-数時間程度の局地的な強い降水域がいくつか現れ、そこでは大雨が降る。降水域が回転しながら移動している場合、低気圧性の対流であることが多い。低気圧の周囲では反時計回り(北半球の場合)に回転しながら大気が集まってきているため、雨雲も同様に移動する。熱帯低気圧や台風などの場合は、回転速度が速く、中心には台風の目にあたる空白ができる。 ドップラーレーダーでは、マイクロ波レーダーの降水強度にあたるものとして風速、時間変化に当たるものとして風向を把握することができ、これらからも気象現象の特徴をつかむことができる。 エコー画像では時に、特徴的な画像が見られることがある。
※この「レーダーエコーと気象の関係」の解説は、「気象レーダー」の解説の一部です。
「レーダーエコーと気象の関係」を含む「気象レーダー」の記事については、「気象レーダー」の概要を参照ください。
- レーダーエコーと気象の関係のページへのリンク