レーダーの乱反射
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/12 17:57 UTC 版)
「F-117 (航空機)」の記事における「レーダーの乱反射」の解説
存在が発表される以前はステルス機はレーダーに映らないと言われていた。レーダーは照射した電波が物体に反射されて返ってくるのを感知して対象の大きさや距離などを測定するので、ステルス機は照射された電波をさまざまな方向に乱反射させてレーダーに映らない程度に弱める、丸みを帯びた形状であると想像されていた。 しかし、実際は電波を特定方向にのみ反射する事により探知方向を制限させるという、予想とは全く逆の方式を用いていた。つまりレーダーに全く映らないのではなく、偶然にも特定方向に反射したレーダー波がキャッチされてしまう事もありえる。しかしそれはごく短時間で終わってしまい、レーダー上に反映される機影は飛行機と判別されないほど全く異なったものとなってしまう。この関係からレーダー上での機影は数あるアメリカ空軍の機密の中でも最重要軍事機密となっている。これはF-117に限った事ではなく、B-2やF-22などの他のステルス機についても同様である。 また、特定方向以外に反射されるレーダー波も皆無という訳ではなく、極めて微弱でRCSが極端に小さいというだけである。そのため湾岸戦争時には単機で侵入したF-117も、ユーゴスラビア介入の際にはソ連製の濃密な防空システムをかいくぐるためにEA-6B電子戦機の電子戦支援を受けていたといわれる。また、この事実は、「さまざまな方向に乱反射」という手法では、ステルス能力が不十分である事を示している(反射するレーダー波の総量が同じであれば、当然ながら『さまざまな方向に乱反射させたレーダー波』と『特定方向にのみ反射を制限し、その方向以外への微弱な反射レーダー波』を比較すれば、前者のレーダー波のほうが強くなる)。
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