ルネサンスとギリシア神話
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/24 04:41 UTC 版)
「ギリシア神話」の記事における「ルネサンスとギリシア神話」の解説
西欧では、古代ギリシア語による文芸はほとんど忘れられていたが、14世紀初頭の代表的な中世詩人であるダンテ・アリギエリは、『神曲』地獄篇のなかでリンボーという領域を造り、そこに古代の詩人を配置した。5人の詩人中4人はラテン語詩人で、残りの一人がホメーロスであった。しかし、ダンテはホメーロスの作品を知らなかったし、西欧にこの大詩人が知られるのは、やや後になってからであった。 しかし西欧では、古代のローマ詩人オウィディウスの名とその作品はよく知られていた。イタリア・ルネサンスの絵画でギリシア神話の主題を明確に表現しているものとして、サンドロ・ボッティチェリの『ヴィーナスの誕生』と『春』が存在する。両絵画共に制作年は明確ではないが、1482年頃であろうと想定されている。高階秀爾はこの二つの絵画を解釈して、『春』はオウィディウスの『祭暦』の描写に合致する一方、『ヴィーナスの誕生』と『春』が対を成す作品ならば、これは「天のアプロディーテー」と「大衆のアプロディーテー」の描き分けの可能性があると指摘している。 ボッティチェリの『ヴィーナスの誕生』は、イタリア・ルネサンスにおけるギリシア神話の具象的表現の代表的な作品とも言える。この絵の背後にあると想定されるマルシリオ・フィチーノなど(プラトン・アカデミー)のネオプラトニズムの哲学や、魔術的ルネサンスの思想は、秘教的なギリシア文化と西欧文化のあいだで通底する美的神話的原理であるとも言える。次に、西欧世界において、ルネサンス期以前のギリシアのイメージはどのようなものだったのかを記す。
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