リラおよびペダル
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/26 05:39 UTC 版)
ペダルが取り付けられる構成要素は専門用語で「リラ」と呼ばれる。これは古い楽器の場合、その形状が同名のギリシアの弦楽器と似ていたためである。ペダル操作は音に影響する。 右ペダル(「ダンパーペダル」)を踏むと、全てのダンパーが弦から持ち上がり、鍵を叩いて放した後も全ての音が持続する。加えて、ダンパーが解除された弦はその他の音に共鳴し、ピアノにより豊かで、ザワザワした、そしてまたぼやけた音を与える。 中央のペダル(「ソステヌートペダル」とも)はフランスで開発され(ジャン=ルイ・ボワスロ(英語版)、1844年; クロード・モンタル(英語版)、1862年)、米国で特許取得された(アルバート・スタインウェイ、1874年)。今日、ソステヌートペダルはほぼ全てのグランドピアノで(少なくともオプションとして)提供されている。ソステヌートペダルは個別の音を保つために使われる。このペダルを踏むと既に持ち上げられたダンパーが再び落ちるのが妨げられる。一方で、その他全てのダンパーは鍵に反応し続け、鍵を放すと元の位置に戻る。20世紀および21世紀の一部のピアノ作品では、ソステヌートペダルの使用が必須である。 左ペダル(「シフトペダル」)を踏むと、鍵盤機構全体が右方向へ移動する。これは、ハンマーが弦コースの3本の弦全てを打たないことを意味する。これがウナ・コルダ(英語版)(1本の弦)という名称の由来である。より正確には、1音につき1本の弦しか持たない低音を例外として、1本の弦が打たれることはない。むしろ、シフトすることでハンマーヘッドのフェルトの通常とは別の部分が弦を打つことになる。一部のピアノ製造業者はハンマーヘッドのこれらの位置はより緩く、柔らかく加工する。これにより音質が変化し、音量がやや小さくなる。 ファツィオリはモデル308のために4番目のペダルを提供している。これは、アップライトにおける弱音ペダルのように、ハンマーを弦に近付け、これによってグランドピアノの左ペダルのように音質を変化させることなく弱音演奏することが容易になる。 シュタイングレーバーはオプションで特別な左ペダル機能を提供している。まず、左ペダルを踏むと、ウナ・コルダシフトが起こり、さらにペダルを踏み込むとハンマーが弦に近付き、弱音のコントロールが容易となる。 フォイリッヒの全てのグランドピアノモデルは「Pédale Harmonique」という第4のペダルを備える。このペダルは1つのペダルで以下の3つの異なる機能を果たす。 従来のダンパーペダル 「上音共鳴」 - Pédale Harmoniqueの特別な音 ソステヌートペダル ペダルが完全に押し下げられると、従来のダンパーペダルと同じ挙動となる。ペダルが中間まで押し下げられると、全てのダンパーが持ち上がるが、演奏され放された鍵のダンパーのみが弦に落ちる。演奏されていないその他の弦はダンパーで消音されないままになる。これによって音の上音(倍音)が響き続ける。
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