ラーデマッハーによる計画
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/04/11 16:54 UTC 版)
「マダガスカル計画」の記事における「ラーデマッハーによる計画」の解説
先だってラーデマッハーはドイツ外務省ユダヤ人担当課("Referat D III der Abteilung Deutschland"=ドイツ局第三課)の長に任じられており、6月3日に彼が外務省の上司マルティン・ルターへ作成した覚書には「望ましい解決策は全てのユダヤ人をヨーロッパから追い出すことだ」とまで断言していた。ラーデマッハーは、マダガスカルへ移送されるユダヤ人からは市民権を奪い、ヴィシー・フランス統治下のマダガスカル委任統治領の住民になるべきだと考えていた。このことによって、パレスチナにおけるユダヤ国家の建設を防げると考えていた。ラーデマッハーはさらに、ユダヤ人がマダガスカルへ移送されたならば、彼らは「アメリカにおけるユダヤ人の将来の良き振る舞い」を保証するための人質として利用できるだろうと考えていた。 6月3日の覚書を受け取ると、ルターは外務大臣のリッベントロップにこの議題を提案した。6月18日、リッベントロップに加えヒトラー自身がベニート・ムッソリーニにこの計画を語った。6月20日、ヒトラーは海軍総司令官のエーリヒ・レーダーにマダガスカル計画を直接伝えた。 ラーデマッハーはこの計画への費用を捻出するため、ヨーロッパのユダヤ人の全資産を最終的に整理するであろう銀行設立まで想定していた。ユダヤ人はマダガスカルとナチスが許可したヨーロッパの特定地域を除き金融取引を許可されず、その仲介に当たるのがこの銀行とされた。四カ年計画を推進するゲーリングのオフィスはマダガスカル計画の経済管理を指導すると考えられた。 加えて、ラーデマッハーは他の政府機関の役割を見越していた。リッベントロップの外務省はマダガスカルの支配権をドイツに委譲する結果となるようフランスとの講和条約を交渉するよう期待された。また外務省はヨーロッパのユダヤ人を取り扱うその他の条約を作成する役割を果たす。ヨーゼフ・ゲッベルス率いる宣伝省は本計画の情報部門を担当し、本政策に関連する国内外の情報をコントロールする。総統官房(ドイツ語版、英語版)のヴィクトル・ブラック(英語版)は移送を指揮する。SSはヨーロッパからのユダヤ人の放逐を続行し、最終的にはマダガスカル島を警察国家として統治する。第三帝国はバトル・オブ・ブリテンに勝利し、アシカ作戦の成功でグレートブリテン島へ侵攻しこれを征服する、イギリス艦隊はドイツに接収されマダガスカルへのユダヤ人の移送に利用される。計画はこれらのことが実現するのを前提で立案されていた。
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