ミネルバの運用
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「ミネルバ (ローバー)」の記事における「ミネルバの運用」の解説
2003年5月9日、MUSES-CはM-V5号機によって内之浦宇宙空間観測所から打ち上げられ、はやぶさと命名された。ミネルバははやぶさに搭載されて小惑星イトカワを目指した。イトカワまでの2年余りの道中、ミネルバは時々機器の電源をオンにして状態チェックを受けた。はやぶさ打ち上げ直後のチェックで動作に不安定な面が見つかったが、原因が判明して対策を取ったところ正常に戻った。そしてその後の状態チェックではミネルバは正常に機能した。 はやぶさは2005年9月12日、目的地の小惑星イトカワに到着した。到着後、はやぶさはまずイトカワの詳細観測を行い、11月に入るとはやぶさの目的の一つである小惑星のサンプルリターンを目指し、イトカワへの着陸にチャレンジすることになった。しかしはやぶさはイトカワへの着陸チャレンジ前に深刻なトラブルに見舞われていた。姿勢制御を担う3基のリアクションホイールのうち、2基が故障してしまったのである。残り一つのリアクションホイールと化学エンジンの噴射を工夫することによって姿勢制御を行うことにしたのだが、安定した姿勢制御を行うことは困難であった。はやぶさは小惑星イトカワのサンプルリターンを目指しており、イトカワでの任務を終えたら地球へ戻らねばならない。イトカワから地球へ予定通り戻るには11月中にイトカワを出発しなければならず、姿勢制御の問題と時間の制約がのしかかっていた。 11月4日の初回の着陸リハーサルは、やはりリアクションホイール故障が大きく影響してイトカワ表面への誘導が想定通り進まず、また着陸を行う方法として考えられた画像処理のデータに基づく着陸試行では、画像処理自体にエラーが出てしまいうまくいかなかった。11月9日に行われた第二回のリハーサルでは、画像処理による着陸を断念し、高度500メートルまではイトカワ表面の地形画像をもとに地上からの指示ではやぶさを誘導するという別の方法を試行した。この二回目の着陸リハーサルは、イトカワ表面への着陸制度という面では精度がまだ足りなかったものの、一回目ではイトカワ表面から700メートルが最接近距離であったものが、70メートルまで接近することができた。
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