マネージド・アカウントでの組入れ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/06 00:12 UTC 版)
「上場投資信託」の記事における「マネージド・アカウントでの組入れ」の解説
ETF保有者層は欧州で8割が機関投資家なのに対し、アメリカでは個人投資家の割合が高めである。後者の要因としてマネージド・アカウント(Managed account)を紹介する。 マネージド・アカウントは、金融機関の営業担当者と個人投資家が投資一任契約をむすび、顧客の運用資産総額に応じて運用手数料が生じる仕組みである。1995年、証券取引委員会がフィナンシャル・アドバイザーの報酬制度が個別銘柄の売買によるコミッションを基準としていることを問題として、メリルリンチ社長(Daniel P. Tully)を長に、ウォーレン・バフェットまで招いて委員会を発足した。このタリー委員会が総額基準を提言したのである。1995年にスミス・バーニーがマルチ・ディシプリン・アカウント (MDA) を開発した。MDAは異なる組み入れ資産および運用スタイルを組み合わせた商品である(複数の資産運用会社が運用を担当する)。MDAの最低投資金額は10万ドルに抑えられ、マネージド・アカウントの大衆化に貢献した。 マネージド・アカウントのETF組入れは宿命であった。マネージド・アカウントの普及につれて、フィナンシャル・アドバイザーは手数料に飢えた。そこで、資産運用会社から販売会社へのキックバック料金が高いものを売り込んだり、手数料の高すぎる投信を組み入れたりしていた。マネージド・アカウントにかぎらず、当時の証券会社の取扱い商品は自社もしくはグループ傘下の資産運用会社の投信に偏っていた。これが2003-4年にアメリカの「投信・保険不正問題」として世論に攻撃された。2003年9月マネージド・アカウント最大手のモルガン・スタンレーが不当なキックバックを理由に当局から200万ドルの罰金を課され、業界はショックを受けた。マネージド・アカウントの組入れ資産は多様化し、フィナンシャル・アドバイザーは解雇されていった。世界金融危機でワイヤーハウスと呼ばれる個人向け証券業務を行っている4大証券会社(モルガン・スタンレー、メリルリンチ、ウェルズ・ファーゴ、UBSアメリカ)は全て銀行となった。2010年ドッド・フランク法が成立し、大銀行は自己資本の活用しない分野で収益をあげる必要に迫られた。2008年から2013年にかけて、マネージド・アカウントの組入れ資産に対するETFの割合は2.8%から9.5%に上がった。
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