ポポヴィッチの著書『大オーストリア合衆国』
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「ドナウ連邦構想」の記事における「ポポヴィッチの著書『大オーストリア合衆国』」の解説
ハプスブルク家の君主の不可侵性を謳いつつも、君主国全体を民族集団の分布に応じて15の「半主権的州(halbsouveräe Staaten)」に区分する。どのように線引きしても「国民の飛び地(nationale Enklave)」が生じてしまうため、各州には相互にマイノリティを保護する義務が課される。孤立したマイノリティが周辺の優勢国民に「有機的に」同化するのは仕方のないことであり、むしろ有益であるとポポヴィッチは唱えたが、強制的な同化については強く否定した。想定された「半主権的州」は以下の15州である。 ドイツ・オーストリア ドイツ・ボヘミア ドイツ・モラヴィア ボヘミア スロヴァキア 西ガリツィア 東ガリツィア ハンガリー ゼクラーラント トランシルヴァニア トレンティーノ トリエステ クライン クロアチア ヴォイヴォディナ 各州は独自の政府・議会・司法を有し、外交・軍事・関税・法体系・主要鉄道網といった共通項については連邦政府が担う。連邦議会は二院制から成り、下院は完全男子普通選挙による選出、上院については、従来の世襲議員の数を大幅に減らしたうえで法律家や技師など職能別に構成された議員を新たに付け加える。合衆国の公用語はドイツ語だが、州レベルでは独自の公用語を定めることができる。 ポポヴィッチの『大オーストリア合衆国』はドイツ系勢力に広く受け入れられ、「大オーストリア」を志向する保守派や南スラヴ系のカトリック界からもある程度の支持を得たという。しかし、オーストリア=ハンガリー二重帝国の解消を意図したという点でハンガリー人の反発を受け、ドイツ人の中央集権主義を容認したという点でスラヴ系諸国民からも敵意の眼で見られた。
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