プティパ版(モスクワ版とペテルブルク版)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/06/21 07:09 UTC 版)
「ドン・キホーテ (バレエ)」の記事における「プティパ版(モスクワ版とペテルブルク版)」の解説
1869年12月26日、モスクワの帝室劇場(現ボリショイ劇場)において、マリウス・プティパ振付、レオン・ミンクス作曲による『ドン・キホーテ』(プロローグ付き4幕8場)が初演された。プティパは当時、サンクトペテルブルクの帝室劇場(現マリインスキー劇場)でバレエ・マスター(英語版)を務めていたが、ボリショイ劇場から依頼を受けて本作を制作した。ボリショイ劇場は、当時マリインスキー劇場の後塵を拝しており、新作バレエでの成功を狙ってプティパを招聘したのである。バレエ『ドン・キホーテ』は、原作小説の一挿話であるキテリアとバシリオの恋物語を題材とし、プティパが得意としたスペイン舞踊を取り入れた作品であり、大成功を収めた。 初演から2年後の1871年11月、プティパ自身による改訂版『ドン・キホーテ』(プロローグ・エピローグ付き5幕11場)がサンクトペテルブルクにおいて上演された。初演版が、庶民的なモスクワの観客向けに作られた素朴な喜劇だったのに対し、改訂版は、貴族的で洗練されたペテルブルクの観客の好みを反映し、純粋な舞踊を披露することに重点が置かれた。 その結果、スペイン舞踊を多く取り入れていた初演版に比べ、改訂版はクラシック・バレエの技法に基づく踊りが中心となった。また改訂版では、クラシック・バレエの技法を見せる新たな場面として、ドン・キホーテがドゥルシネア姫に出会う「夢の場面」と、公爵の館を舞台とした「結婚式の場面」が追加された。「夢の場面」では、初演時は別々のダンサーが演じていたキトリとドゥルシネア姫を、1人のダンサーが二役で演じるという演出が導入された。また「結婚式の場面」では、物語と直接関係のないディヴェルティスマン(余興の踊り)が演じられた。後述する最終幕のグラン・パ・ド・ドゥは、このディヴェルティスマンの一環として、改訂版で初めて追加されたものである。この改訂版の上演も、初演時と同様に好評を博した。
※この「プティパ版(モスクワ版とペテルブルク版)」の解説は、「ドン・キホーテ (バレエ)」の解説の一部です。
「プティパ版(モスクワ版とペテルブルク版)」を含む「ドン・キホーテ (バレエ)」の記事については、「ドン・キホーテ (バレエ)」の概要を参照ください。
- プティパ版のページへのリンク