ブルーリボン賞説
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/17 07:29 UTC 版)
「タイタニック (客船)」の記事における「ブルーリボン賞説」の解説
生存した船員が「船長はいつもと違い、氷山の警告を無視した。性格も変貌し、船のスピードアップに躍起だった」と、スミス船長に異常があったことを証言しているが、スミス船長の態度がいつもとは違ったのは、「処女航海で大西洋横断のスピード記録(ブルーリボン賞)を出すためであった」という説がある。 タイタニックが氷山に衝突したのは、大西洋最速横断記録(ブルーリボン賞)を獲得しようと無理な航行を強行したことが事故の遠因になったという説があり、根強く支持されている。しかし、1912年当時のブルーリボン賞を保持していたのは西回り・東回りともにモーリタニアであり、その平均速度は26ノット近いものであった。両船の要目を比較すると、 モーリタニア:総トン数3万1,938トン、機関蒸気タービン4基/4軸、機関出力6万8,000馬力、巡航速力26ノット(最高速力28ノット) タイタニック:総トン数4万6,328トン、機関蒸気レシプロ2基、蒸気タービン1基/3軸、機関出力4万6,000馬力、巡航速力22ノット(最高速力24ノット) であり、機関の性能から見て、タイタニックはブルーリボン賞を獲得できるような能力を持っていない。 当時、ブルーリボン賞の獲得を目指したモーリタニアのような高速船は、その莫大な運航費用(燃料費)を輸送する人員や貨物だけでは賄えず、政府からの補助金によって運航が維持されていた。しかし、タイタニックを含めたオリンピッククラス客船は豪華さを売りにし、総トン数を上げ輸送力増大や機関出力を抑えての燃料費の低減など、補助金なしで採算が取れる運航ができるように設計された船であった。このことから、ブルーリボン賞を獲得しようとして事故を起こしたという説の根拠は薄い。 タイタニックが高速で航行した理由として、スミス船長をはじめ多くの船乗りが高速で氷山を突破した方が安全だと考えていたこと、石炭火災を止めるために燃えている石炭をボイラーに投げ込んだため自然と船足が早くなったこと、当時イギリスの炭鉱がストライキをしていたためニューヨークに着けるだけの石炭しか手に入らなかったことが理由であると考えられている。
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