ピコ-デラ-ミランドラとは? わかりやすく解説

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ピコ‐デラ‐ミランドラ【Giovanni Pico della Mirandola】

読み方:ぴこでらみらんどら

[1463〜1494]イタリア人文学者哲学者中世神学新プラトン主義との融合図った主著人間の尊厳について」。


ピコ-デラ-ミランドラ 【Picodella Mirandola】


ピコ・デラ・ミランドラ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/07/23 07:39 UTC 版)

ピコ・デラ・ミランドラ

ジョヴァンニ・ピーコ・デッラ・ミランドラ(Giovanni Pico della Mirandola、1463年2月24日 - 1494年11月17日[1])は、イタリアルネサンス期の哲学者、人文学者[2]である。「人間の尊厳」を主張したとされてきたが、近年では、ピーコの用いる「尊厳」の語には「序列」という意味もあり、今日でいう「尊厳」の意味はなかったとも言われている。ともあれ、ピーコにとって人間とは、なんにでもなれる変幻自在のカメレオンのごときものであった。なお「ピーコ・デッラ・ミランドラ」とは「ミランドラ出身のピーコ」という通称であり、名字はピーコである。

生涯

北イタリア・ミランドラの領主、ピーコ家(it:Pico (famiglia))ジャン・フランチェスコ・ピーコ1世の子として生まれた[3]ボローニャ大学で法律を、パドヴァ大学教会法を学んだのち各地で研鑽を積み、フィレンツェへ行き、哲学者として高名なマルシリオ・フィチーノと接した。若くして才能を発揮し、プラトンギリシャ語で、旧約聖書をヘブライ語で読んだ。博識で弁が立ち、メディチ家プラトン・アカデミーの中心的な人物の1人になった。

人間は小さな宇宙であり、その中には元素から動植物、理性、神の似姿に至るまでが含まれると考え、人間が動物と異なるのは、自由意志によって何者にも(神のようにも獣のようにも)なることができる点だとして、「人間の尊厳」を主張した[4]1486年、ローマで哲学・神学の討論会を企画し、討論会のために書いた原稿が『人間の尊厳について』 (Oratio De Dignitate hominis) で、ピーコの主著である。ただしこの題名はピーコ自身の命名ではない。

この討論会では聖体変化などについての議論も予定しており、ローマ教皇インノケンティウス8世から異端の疑いをかけられ、討論会は中止。ピーコも逃亡後、捕えられてしまうが、メディチ家のロレンツォ・デ・メディチの努力により釈放され、フィレンツェに戻る。ジローラモ・サヴォナローラとも親交があった。31歳で死去。

フィチーノと同様、近年は異教的な神秘主義の側面が注目されている。自然を支配する業としての魔術を信じていたが、占星術については、人間の運命が定められているというのは人間の自由意志に反する、として反対するようになり、師フィチーノの説を批判した『反占星術論』を執筆している。また非ユダヤ人としては、はじめてカバラを極めたとされる。

著書

Opera omnia, 1601
  • 『人間の尊厳について』 植田敏郎訳、創元社、1950年
  • 「人間の尊厳についての演説」- 『ルネサンスの人間論 原典翻訳集』佐藤三夫訳編、有信堂高文社、1984年1月。 
  • 『人間の尊厳について』大出哲・安部包・伊藤博明訳、国文社〈アウロラ叢書〉、1985年11月。ISBN 978-4772001076 
  • 『存在者と一者について』[5]伊藤博明編訳。大出哲訳、埼玉大学教養学部〈リベラル・アーツ叢書〉、2015年。ISBN 978-4990625139

脚注

  1. ^ ピコ・デラ・ミランドラ』 - コトバンク
  2. ^ ヤマザキマリ『ヤマザキマリの偏愛ルネサンス美術論』集英社、2015年、51頁。 ISBN 978-4-08-720815-3 
  3. ^ Marek, Miroslav. “Genealogy.eu”. 2008年3月9日閲覧。
  4. ^ ペーテル・エクベリ『おおきく考えよう 人生に役立つ哲学入門』晶文社、2017年、25頁。 ISBN 978-4-7949-6975-0 
  5. ^ 著者表記はジョヴァンニ・ピーコ・デッラ・ミランドラ。冊子での刊行

参考文献

歴史小説

  • エティエンヌ・バリリエ『蒼穹のかなたに-ピコ・デッラ・ミランドラとルネサンスの物語 1・2』桂芳樹訳、岩波書店、2004年3月。 

関連項目

イタリア文化会館主催でイタリア語作品の翻訳に対して贈られる。これまでに作家の須賀敦子、ルネサンス美術史の岡田温司(京大教授)、『マキァヴェッリ全集』を編集した永井三明(同志社大名誉教授)らが受賞。(イタリア文化に関する著作に贈られるマルコ・ポーロ賞もある)

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