ヒルサイド・コンバイン
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/05/10 19:25 UTC 版)
「コンバインハーベスター」の記事における「ヒルサイド・コンバイン」の解説
米国の太平洋側北西部パルース地域では面白い技術が使用されていて、コンバインが斜面でも車体の水平を保つよう油圧システムで改造されている。これは、肥沃だが驚くほど起伏が激しいその地域の農地でも、コンバインで収穫することを可能にしている。この油圧装置を装備したヒルサイド・コンバイン(Hillside combine)は50%の勾配でも作業が出来る。 グレーナー(Gleaner)、ケースIH(Case/International Harvester)、ジョンディアおよび他のコンバインメーカーは、この斜面でも車体の水平を保つシステムを装備したコンバインを生産している。また、地方の機械工場は後付け用としてそれらを製作している。 最初のヒルサイド・コンバインの技術は、1891年にカリフォルニアのホルト社(Holt Co.)によって開発された。その後何年も経った後、現代の自動車体水平の技術は1946年にレイモンド・ヘイワイヤ・ハンソン(Raymond Haywire Hanson)によって発明された水銀スイッチ式水平センサーの発明および特許とともに出現した。ハンソンのラウコ社(Rahco, Inc.)は、今でも主にジョンディアコンバイン用の車体水平システムを生産している。 斜面において車体の水平を保つことには、いくつかの利点がある。その中の第一点目は、斜面での作業であっても脱穀効率が高められた事である。 車体の水平を保てないと、穀粒とワラ屑が選別板の一方に偏って動き、選別されずに大きな固まりとなって地面に大量の穀粒を飛散させる。車体を水平に維持することによって、ストローウォーカー(straw-walker)はより効率的に作動することができる上に、選別も効率的にできることから、この問題は解消される。 ケースインターナショナルが生産した453型コンバインは、斜面のどのような向きの勾配であっても車体の前後左右を水平に保つため、効率的に脱穀することを可能にした。(→外部リンクのYouTube動画でこの453型の技術を見ることが出来る。) 二点目として車体を水平に保つことは、斜面に対するコンバインの重心位置を適正に保ち、コンバインが横転せずに斜面の等高線に沿って収穫することを可能にする。急勾配の斜面は非常に危険な領域であり、コンバインがとても急な丘で横転する事故は珍しくない。 より新しい型の水平装置は、古いもの程には傾斜に対応出来ない。ラウコ製の車体水平コンバージョンキットを装備したジョンディア9600型コンバインで44%まで、より新型のSTSコンバインでも35%に対応する程度である。これら近代的なコンバインは、車体の水平がそれほど重要ではない回転式の穀粒選別装置を使用する。 また、パルースのほとんどのコンバインは機械を安定させるために駆動輪にダブルタイヤを装備している。
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