ヒトの網膜
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/09 04:32 UTC 版)
成人の網膜は厚さ0.2-0.3mm、直径40mm前後である。網膜の中心部は視力に最も関係している部位であり、黄褐色に見えるため、黄斑部と呼ばれる。さらに黄斑の中央部は網膜が0.05mm程度と薄くすり鉢状に凹んでおり、中心窩と呼ばれる。 黄斑部の4-5mm内側には、網膜全体の神経線維が集まり眼球外へと出て行く視神経乳頭が存在している。視神経乳頭には視細胞が存在していないため、この部位では物を見ることができない。いわゆる盲点(マリオット盲点)はこの部分に相当する。 網膜の辺縁はギザギザになっていて鋸状縁と呼ばれる。 網膜の光感受性受容器である杆体(桿体)と錐体の分布は異なる。明るい光を受けて働き、明所視をつかさどる錐体は中心窩に多く存在しており、その密度は中心窩から離れると速やかに減少する。中心窩は高密度の錐体の存在と同時に、それらの受容器同士での視覚情報の統合をあまり受けずに個別の視神経へ出力されることによって、脳へ伝えられる画像の分解能が最も高くなっている。一方、杆体は中心窩を取り巻くように網膜周辺部に多く存在し、暗い場所で働き、暗所視をつかさどる。
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