網膜変性
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/05/02 06:36 UTC 版)
「インターロイキン-1β」の記事における「網膜変性」の解説
IL-1ファミリーは、加齢黄斑変性症、糖尿病網膜症、網膜色素変性症など、多くの変性疾患における炎症反応に重要な役割を果たしていることが示されている。糖尿病網膜症の患者の硝子体ではIL-1βタンパク質のレベルが大きく上昇している。IL-1βの役割について、糖尿病網膜症の治療標的としての可能性が研究されている。一方、カナキヌマブの全身投与では大きな効果はみられない。加齢黄斑変性症におけるIL-1βの役割は患者では証明されていないものの、多くの動物モデルやin vitroの研究からは、網膜色素上皮細胞(英語版)や光受容細胞(英語版)の損傷における役割が示されている。NLRP3インフラマソームは、細胞質のIL-1β前駆体を成熟型であるIL-1βへ切断するカスパーゼ1を活性化する。網膜色素上皮細胞はヒトの網膜において血液網膜関門(英語版)を形成しており、これは網膜の代謝活性、完全性、免疫細胞の浸潤の阻害に重要である。酸化ストレスにさらされたヒトの網膜色素上皮細胞はIL-1βを分泌する。炎症反応は網膜細胞の損傷と免疫系の細胞の浸潤を引き起こす。NLRP3のアップレギュレーションなどの炎症過程は加齢黄斑変性症や他の網膜疾患の原因の1つであり、失明へとつながる。
※この「網膜変性」の解説は、「インターロイキン-1β」の解説の一部です。
「網膜変性」を含む「インターロイキン-1β」の記事については、「インターロイキン-1β」の概要を参照ください。
- 網膜変性のページへのリンク