治療標的としての可能性
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/04/23 15:35 UTC 版)
「グリピカン3」の記事における「治療標的としての可能性」の解説
GPC3は肝臓がんの治療標的として有望である。GPC3やYP7など、いくつかの抗GPC3抗体治療薬が開発されている。NIHの国立がん研究所(NCI)のMitchell Hoの研究室はハイブリドーマ技術を利用し、GPCのC末端領域を認識するYP7や他のマウスモノクローナル抗体を単離した。これらの抗体は臨床応用のためにヒト化が行われている(hYP7など)。また、Hoの研究室はファージディスプレイ技術を用いて、GPC3のN末端領域を標的にしたヒト単一ドメイン抗体('human nanobody')HN3や、GPC3のヘパラン硫酸部分を標的にしたヒトモノクローナル抗体HS20を同定している。HN3とHS20はどちらも肝臓がん細胞のWntシグナリングを阻害する。HN3をベースにした免疫毒素(英語版)、hYP7をベースにした抗体薬物複合体(英語版)、YP7とGC33に由来する二重特異性T細胞誘導抗体(英語版)(BiTE)が肝臓がんの治療へ向けて開発が行われている。GC33、hYP7、HN3をベースにしたキメラ抗原受容体T細胞(CAR-T)療法も肝臓がんの治療へ向けてさまざまな開発段階にある。異種移植または同所性移植された肝臓腫瘍を持つマウスにおいて、CAR(hYP7)T細胞はGPC陽性がん細胞を消失させた。この作用はおそらくパーフォリン(英語版)とグランザイム(英語版)を介したアポトーシスの誘導またはWntシグナルの低下によって行われていると考えられる。
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