パーシャルオープンエンドの進化
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/01 02:44 UTC 版)
「イージーオープンエンド」の記事における「パーシャルオープンエンドの進化」の解説
先述のようにイージーオープンエンド(EOE)の缶蓋のうち、蓋の一部のみが開口するものをパーシャルオープンエンド(POE)と呼び、その方式としてはプルタブ式が普及していた。しかし、それは開口部が金属片となって缶本体から切り離されるものであったため、その危険性や環境問題が指摘されることとなった。そのため、1980年代にはステイオンタブ式が広まり始め、1990年代初頭にはほとんどすべてがそれに切り替わった。ただし、日本では現在でも中国などから輸入された、プルタブ式の飲料缶がわずかながら流通しているほか、飲料以外の液体の入った缶(エンジンオイル等の自動車用潤滑油添加剤等)では採用例が多々ある。 とくにアメリカでは、当時すでに同様な環境問題となっていたためにプルタブが禁止され、ステイオンタブ式が主流となっていたことが、日本にも伝わり、市民の意識を高める助けとなった。また、そうした缶飲料が輸入されるようになり、珍しくなくなってきたことも影響した。プルタブのポイ捨て問題を解消すべく、企業などに問題提起と要望をした市民団体もあった。 ステイオンタブ式には、その普及のために一時期エコマークがついていたことがある。 ステイオンタブ式は、開口部分の口金が缶に付いたまま内部に押し込まれるため、当初は衛生的ではないなどの見方もされたが、実際に販売してみると市民の抵抗感などはほとんどなかった。この衛生問題については、新規な規格を取り入れることに消極的な企業側が、日本人は清潔好きだからといういわゆる清潔神話をもとに(自社の製品が売れなくなっては困るということで)述べていた可能性が指摘されている。プルタブ式であっても飲料が口に入る前に缶の外側に触れることは同じであり、「衛生的ではない」との声が消費者からのものであったのかどうかは不明である。 なお、1975年には、プルタブのポイ捨て問題に対応するため、2箇所のやや出っ張った口金を指で押し下げる方式のプッシュエンド(またはプッシュボタン)という方式も炭酸飲料において採用された。内圧によって口金を押し付けて密閉している面もあるため、中身を不正に入れ替えることも不可能でなく、力が必要で操作感が良好でないなどいくつかの問題点により、それを採用した製品が市場に出回った期間はごく短かった。 プルタブ式で用いられたプルタブについては、それらをチェーン状に接続加工し、のれん(欧米ではカーテン)などを作ることにも利用されたことがある。
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