パラダイム概念の学説史的意義とは? わかりやすく解説

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パラダイム概念の学説史的意義

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/19 21:08 UTC 版)

パラダイム」の記事における「パラダイム概念の学説史的意義」の解説

しかし、こうした実証主義の科学論1960年代から徐々に疑問さらされるようになってきた。その先鞭をつけたのが、ノーウッド・R・ハンソン(Norwood R. Hanson)である。ハンソンは、観察概念再検討し観察を、感覚データ受動的に知覚するだけの単純な経験ではなく理論的背景先行知識をもとにして事象意味付ける能動的行為であることを明らかにした「観察理論負荷性」テーゼ提唱した [Hanson1963=1986]。このテーゼ従えば、「生の事実」とか「堅固な事実」といった概念、あるいは公正中立な観点から得られ純粋無垢データ理論の間に、検証ないし反証の手続き介在させることによって非対称的な関係を想定していた実証主義的な科学論は、大きな打撃を受けざるを得ないこうした旧い科学論崩壊に、いわば最後一撃であったのが、クーンパラダイム論の「一般的受容」の効果である。つまり、理論観察事実によって反証されるではなく理論反す観察事実があろうとも、理論維持され得るし、理論打ち倒すのは別の理論である ―― というパラダイム論の一般的受容は、クーン論述それ自体詳細な科学史事例分析依拠する堅実な方法基づいていたために、かなりの衝撃をもって受け止められ、また激し論争惹き起こされもした。いずれにせよクーン以後科学論は、社会的心理的次元含めた広い次元を扱うようになる同時に科学の「あるべき姿」ないし、なにものかの「あるべき姿」の仮託としての科学を語る規範的アプローチ断念し科学の「実際にある姿」を問題とする記述的(?)アプローチ転じた自身意図ともかくもクーンパラダイム論は、科学としての科学主題とする科学論成立の上一つ画期となったのである

※この「パラダイム概念の学説史的意義」の解説は、「パラダイム」の解説の一部です。
「パラダイム概念の学説史的意義」を含む「パラダイム」の記事については、「パラダイム」の概要を参照ください。

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