ハナカツミとは? わかりやすく解説

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はな‐がつみ【花勝見】

読み方:はながつみ

《「はなかつみ」とも》草花の名。アヤメことといわれるが、ほかにアシの花、カタバミデンジソウなどの諸説がある。「かつて」「かつ」を引き出序詞として用いられることが多い。

をみなへし佐紀沢(さきさは)に生ふる—かつても知らぬ恋もするかも」〈万・六七五


花勝見

読み方:ハナカツミ(hanakatsumi)

デンジソウ別称
デンジソウ科の浮葉性・抽水性多年草園芸植物

学名 Marsilea quadrifolia


花勝見

読み方:ハナカツミ(hanakatsumi)

マコモ別称
イネ科の抽水性多年草園芸植物

学名 Zizania latifolia


花且見

読み方:ハナカツミ(hanakatsumi)

真菰別称

季節

分類 植物


花蒋

読み方:ハナカツミ(hanakatsumi)

分野 俳諧

年代 江戸中期

作者 文車〔編〕


ハナカツミ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/07/26 04:33 UTC 版)

ハナカツミは、『万葉集』を始め、古くから和歌などに多く詠まれたの名称である。後に陸奥国安積沼と結びつけられ、能因法師前田利益松尾芭蕉などが考察し、現地を訪れて探したことで知られるが、古来どの植物を指しているのかいまだ不明であり、長く論議となっている。

諸説

平安時代中期の歌人能因法師はイネ科マコモをハナカツミとしているが、定説とはなっていない。

戦国時代武将でありつつ、風流人でもあった前田利益が関ヶ原の戦い後、畿内から出羽国米沢への旅道中に安積沼に立ち寄り、「此沼のかきつばたなり」と疑わず道中記『前田慶次道中日記』に記している。

松尾芭蕉は著作『奥の細道』中で、「かつみ、かつみと尋ね歩き」と、同地で日が暮れるまで尋ね歩いたが、結局「更に知る人なし」と記しており、結論を得なかった。

高澤等四条家で用いた田字草紋が「花かつみ紋」と称されたことなどから、デンジソウを花勝見として論考している[1]

愛知県阿久比町などはノハナショウブをハナカツミとして紹介している[2]

一方、かつて安積沼があった福島県郡山市ではヒメシャガがハナカツミとされ、1877年明治9年)の明治天皇巡幸ではハナカツミを見たいという天皇の希望によりヒメシャガが叡覧に供された[3]他、1974年昭和49年)には郡山市がヒメシャガをハナカツミとして市の花に指定し、芭蕉と曾良がハナカツミを探し歩いた安積山にはヒメシャガが植えられた[4]

詠まれた歌など

万葉集

をみなへし 佐紀沢に生ふる 花かつみ かつても知らぬ 恋もするかも(4巻675 中臣女郎)[5]

古今和歌集

みちのくの あさかのぬまの 花かつみ かつ見る人に こひやわたらむ(巻第14恋歌4・677 読人不知)[6]

脚注

  1. ^ 歴史読本』(新人物往来社2012年1月号の「家紋拾遺譚 歌人が探し求めた花勝見」
  2. ^ 初夏の訪れを告げる“幻の花「花かつみ」”について”. 阿久比町公式ウェブサイト. 阿久比町 (2021年6月1日). 2024年1月30日閲覧。
  3. ^ 高橋貞夫『安積の史蹟めぐり』歴史春秋社、2018年、82頁。ISBN 978-4-89757-935-1 
  4. ^ 幻の花「花かつみ」の里安積山”. 郡山市公式ウェブサイト. 郡山市 (2021年12月2日). 2024年1月30日閲覧。
  5. ^ [原文] 娘子部四 咲澤二生流 花勝見 都毛不知 戀裳摺可聞  万葉集/第四巻 675』。ウィキソースより閲覧。 
  6. ^ 原文通り。 古今和歌集/巻十四 677』。ウィキソースより閲覧。 

関連項目



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