ハイノーズ(ウイング)
前方からの空気を車体床面に流し込むため、あえて先端を上方へ持ち上げた形状のノーズ、またはその形式をいう。1990年のティレル019が元祖といわれるが、89年のフェラーリ639が既にその原型となるノーズを採用していたことで知られる。
ハイノーズ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/08 16:22 UTC 版)
1990年モデルの019で採用された、フロントノーズを高く持ち上げる空力的な車体形状。これをきっかけに、F1マシンデザインはハイノーズへとシフトすることとなり、ティレルのエポックメイキングな発明として評価されている。 ウイングカーの禁止後、前後車輪間の車体下面を平滑面とする「フラット・ボトム規定」下で、デザイナーはダウンフォース獲得策を模索していた。マシンのノーズ部分を若干高くして車体下面に気流を流しこむ「ハイノーズ」のアイデアは、エイドリアン・ニューウェイが設計したマーチ881や、ジョン・バーナードが設計した640でも(外見ではわからないように)試みられていた。 空力専門家のジャン・クロード・ミジョーは、1989年モデルの018での同様の試みを経て、翌年の019で周囲を驚かせる大胆なハイノーズ化を行った(特に019の形状はイルカの頭部に似ていたことから「ドルフィン・ノーズ」とも呼ばれた)。車体下面のプレートを延長する「抜け道」でフラット・ボトム規定をクリアし、高く持ち上げたノーズからコクピット下まで広い空間を作り、気流の「吸入口」としたのである。また、フロントウイングも路面との距離を保つため、ノーズマウント部から斜めに下げていく形状とした。これは、アンヘドラル(下反角)ウイングと命名され、またF4U戦闘機の逆ガルウイングになぞらえて「コルセアウイング」とも呼ばれた。 このハイノーズマシンは1990年のサンマリノGPでデビューし、ジャン・アレジによってモナコGPで2位を獲得したのを頂点に、中嶋悟とともにチームがコンストラクターズランキング5位を獲得する原動力となった。翌年以降、各チームが多種多様なハイノーズを登場させたが、アンヘドラルウイングは中央空間のウイング面積が減ることがネックとなり、やがてベネトン・B191で採用された2点吊り下げ式ウイングが主流となった。
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