ネコの象徴化
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/09 23:59 UTC 版)
ネコの性格は気まぐれとされ、行動・習慣はむしろ頑固で多分に自己中心的であり、イヌが飼い主の躾によく反応し強い忠誠心を示すのとは対照的であるとされている。これは、イヌが元来群れをつくる動物であり、飼い主を群れの仲間(多くの場合は自分よりも上位)と認識するのに対して、元来単独で行動するネコでは、そのようなことがないのが原因であると言われる。もちろん全てのネコがそうであるわけではない。例えばロシアンブルーは人見知りではあるが飼い主に忠実であり、イヌのようだと言われるメインクーンは部屋から部屋へ飼い主に付いて行ったり、アビシニアンやソマリは人と遊ぶことを非常に好むなど、ネコの品種によっては、人間の生活様式に順応した性格を生まれ持って具えていることも多い。躾ければ、餌をねだる際にイヌのように「お手」をすることも覚える。また、ネコの飄々とした性質や姿形から、幻想的な象徴として描かれることも多い。『マザーグース』にはバイオリン(fiddle)を弾くネコが登場する。またイギリスなどの英語圏では黒猫はクリスマスカードのモチーフとして定番になっている。 農家にとってネズミを捕るネコは豊穰と富を象徴する生き物だったが、豊穰というものは連続する再生(生産)であり、そのための死(消費)をも意味する。ネコの特徴として、光の量によって大きさの変化する瞳が挙げられるが、これは月の満ち欠けに擬えられた。月もやはり死と再生を繰り返すと考えられていた存在である。後世では、この死を司るという特質が強調されるようになり、中世ヨーロッパでは魔女の使い魔と見做されるようになった。 イスラム世界では、預言者ムハンマドがネコを可愛がっていたと伝えられており、現在でもネコは好まれる。 なお、現代では野猫(ノラネコ)は野生化したイエネコそのものを指しているが、『和漢三才図会』でタヌキを「野猫」としているように、古くはタヌキをネコと呼んでいることから、ネコとタヌキは民俗学的には同一の存在である。中国では「狸」の字でタヌキのほかにヤマネコの類をも指したので、イエネコを「家狸」とも称した。
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