トンボ亜目と文化
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/04/19 18:06 UTC 版)
ヨーロッパでは、トンボはしばしば邪悪であると考えられる。英語では、「悪魔のかがり針(devil's darning needle)」や「耳を切るもの(ear cutter)」と呼ばれ、悪魔や怪我と結びつけられている。ルーマニアの伝承では、トンボはかつて「悪魔の馬」であったと伝えられる。またスウェーデンの伝承では、悪魔は人々の魂の重さを量るためにトンボを利用したと言われている:25–27。ノルウェーではトンボのことを"Øyenstikker"と呼ぶが、これは「目を突くもの」という意味である。ポルトガルでは"Tira-olhos"(目をひったくるもの)とも呼ばれることがある。またウェールズで「ヘビの召使い」という意味の"gwas-y-neidr"と言われるように、しばしばヘビと結びつけられる。アメリカ合衆国南部では、トンボはヘビの後をつけ、怪我をしたら背中に張り付くという伝承から、「ヘビの医者」"snake doctor"と呼ばれる。 アメリカ先住民の中には、トンボを迅速性と活動を表すものだと考える部族もある。ナバホ族は、純粋な水を象徴すると考えている。ズーニー族は、二重線の十字でトンボを様式化し、器の模様として用いる。ホピ族の岩絵やプエブロのネックレスのモチーフにもなっている:20–26。 中華人民共和国や日本では伝統的な生薬の材料ともされてきた。また成虫やヤゴを食用とする地域もある。例えばインドネシアでは、鳥黐でトンボを捕らえ、油で揚げて珍味として食べる。 アメリカ合衆国では、野鳥観察と同様にトンボやイトトンボを探すことが趣味として行われ、ラテン語でトンボを表すodonataからオーディングと呼ばれる。特にテキサス州で盛んで、合計で225種も見ることができる。この際トンボは丁寧に扱われ、観察が終わったら逃がすこととされている。 トンボの図柄はアール・ヌーヴォーの、特に宝石のデザインにしばしば用いられる。Maeve Harris等の現代芸術家の描くポスターでも見られる。織物や家具のデザインとして使われることも多い。織物や家具の図案としてもしばしば用いられる。
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