テアトル・オプティークの意義
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「テアトル・オプティーク」の記事における「テアトル・オプティークの意義」の解説
テアトル・オプティークは、パーフォレーションが付いた細長い帯を映写して動画を創出するという点で、19世紀末に誕生した映画に先駆ける技術となった。アニメーション史研究者の津堅信之は、テアトル・オプティークには上記の点で「絵が連続的に動く」要素と「絵を映す」要素が複合されていることから、その挿絵の帯は「映画フィルムに限りなく近い」ものであると指摘している。ジョルジュ・サドゥールは、テアトル・オプティークがパーフォレーションの付いた柔軟な帯を映写に利用した最初のものであり、その点で映画フィルムのフォーマットを考案したトーマス・エジソンに先行していたと指摘している。2015年には「光によるパントマイム」とその現存する上映作品が、「映画とそのスペクタクルの発明を予期し、可能にした技術成果の集大成を証明する」ものとして、ユネスコの世界の記憶に登録された。 また、テアトル・オプティークは「アニメーションの直接的な元祖」とされている。テアトル・オプティークにおける背景と人物の絵を合成するという技法は、1910年代に確立したセルアニメーションの技術で応用され、その後のアニメーションの発展における最大要素のひとつとなった。国際アニメーション映画協会(ASIFA)は、パントマーム・リュミヌーズの興行初日にあたる10月28日を「世界で初めてアニメーションを一般公開した日」として記念し「国際アニメーションデー」と定めた。しかし、映画誕生以後、最初の本格的なアニメーション映画が登場するまでには10年以上を要しており、その作品はジェームズ・スチュアート・ブラックトン(英語版)の『愉快な百面相(英語版)』(1906年)やエミール・コールの『ファンタスマゴリー(英語版)』(1908年)となった。 テアトル・オプティークは伴奏音楽を付けたり、機械的な方法によって映像と音を同期させる試みを行ったという点でも、先駆的な意義を果たした。ジョルジュ・サドゥールは、テアトル・オプティークが「映像と音とを並置させて同調させることのできた最初の試みであり、現在のトーキーの原理を漠然と予見するもの」だったと述べている。
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