ダイ・トランスファー方式
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/07 09:00 UTC 版)
「テクニカラー」の記事における「ダイ・トランスファー方式」の解説
フィルムによるカラー方式での撮影が主流になると、テクニカラー社は褪色しやすいイーストマン・カラー等に変わってダイ・トランスファー方式でネガからプリントを起こす方法を発案した。1954年には大型のビスタビジョン、Todd-AO、ウルトラ・パナビジョン70、テクニラマなどからも高精細で美しいプリントを作成出来るようにした。1960年代半ば頃から、高画質であるものの高コストで時間のかかるダイ・トランスファー方式はアメリカでは採用されなくなり、1974年の『ゴッドファーザー PART II』を最後の作品とし、テクニカラー社はダイ・トランスファー方式のプリント施設を閉鎖した。 1997年にテクニカラー社は、ダイ・トランスファー方式によるフィルム制作を再開させた。これは1960年代 - 1970年代に行なっていたプロセスの改良版で、『オズの魔法使』『ファニー・ガール』『裏窓』『地獄の黙示録・特別完全版』などのフィルム再生で限定的に使用され始めた。その後、『トイ・ストーリー』などの大予算のハリウッド映画でも採用された。 2000年以降にデジタルリマスターが普及すると三色法の評価が一変した。特に実用初期の発色フィルムは、技術の未成熟などが影響して約半世紀の時間経過により、整備された環境で保存されているマスターフィルムも著しく褪色しており、デジタルリマスター処理を施しても元の発色が再現できるとは限らなかった。テクニカラーは原理的に「3本のモノクロフィルム」であるため、大きく褪色しておらずにデジタルリマスターも容易に行えた。『スター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望』特別編のデジタルリマスターは、ジョージ・ルーカスが個人的に保有していたテクニカラー版を参照して色調整が行われた。画面上のノイズの補正も、発色フィルムの場合は「元の映像の一部か、ノイズか」の区別が付きにくいことが多いが、テクニカラーは3本のフィルムを相互比較すれば、埃や傷などのノイズか否か比較的容易に判別が可能であった。 2002年には再びダイ・トランスファー方式によるフィルム制作は中止された。
※この「ダイ・トランスファー方式」の解説は、「テクニカラー」の解説の一部です。
「ダイ・トランスファー方式」を含む「テクニカラー」の記事については、「テクニカラー」の概要を参照ください。
- ダイ・トランスファー方式のページへのリンク